平成27年11月17日 自由民主党 組織運動本部厚生関係団体委員長 比嘉奈津美 様 政務調査会厚生労働部会長    古川俊治  様 社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会  会長  松井逸朗 平成28年度予算税制等に関する日身連の要望について  日頃より障害者施策の向上のためにご尽力いただき厚くお礼申し上げます。  日本も障害者権利条約の締約国となり、来年4月には条約の根幹とも言うべき障害者差別解消法が施行されます。障害を理由に分け隔てられることなく、誰もが安全に安心して暮らせる共生社会実現のために一層のご理解とご支援を賜りますよう、特段のご配慮をお願いいたします。   記 Ⅰ.予算等に関すること 1.  平成28年2月に提出予定されている「障害者の権利に関する条約第1回政府報告」については、障害者政策委員会での議論を踏まえた適切な政府報告を作成いただきたい。  また、平成28年4月の障害者差別解消法の施行にむけ作成される対応要領及び対応指針については、行政機関や関係事業者にとどまることなく、国民的理解促進にむけた周知啓発が図られるよう徹底していただきたい。加えて、地方自治体における差別禁止条例の制定が進みつつあるなか、さらに全国的に制定されるよう図っていただきたい。 2. 平成24年10月に施行された障害者虐待防止法の3年後の見直しの時期にあたっては、通報義務の対象に病院・学校・保育所等の関係機関を含める改正を行っていただきたい。また、病院や施設、学校といった社会から隔絶しやすい場については、虐待防止や障害者の権利が保障される体制づくりについて検討いただきたい。 3. 2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の成功にむけ、情報保障を含む、バリアフリー化が図られた大会開催となるよう、現在、関係機関で進められている協議検討が障害者等関係者の意見を反映し、ハード及びソフト両面のバリアフリー化の一層の推進を官民一体となって着実に実現していただきたい。 4. 平成28年3月に東日本大震災発生から5年が経過するが、震災から得た教訓を風化させることなく、また、長期にわたる復興支援対策が着実に講じられるよう、進めていただきたい。 5. 現在、社会保障審議会障害者部会において、障害者総合支援法附則第3条検討事項の論点に対する議論が行われているが、十分な議論に加え総合福祉部会の「骨格提言」を踏まえた検討を行っていただきたい。 特に、障害者総合支援法第7条における介護保険優先原則や入院中の障害者に対する支援(家事援助含む)については、それぞれの特性に応じた必要とされる支援が提供されるような制度の仕組みを整えていただきたい。 6. 障害者の一層の社会参加の促進を図る上で、交通等に関する諸課題の解決を図っていただきたい。 ① JRの「ジパング倶楽部」については、障害者手帳所持者を対象とした枠を設けて広く有効活用させていただいているが、東海道・山陽新幹線「のぞみ」や九州新幹線「みずほ」が割引対象外となっており公平性が損なわれていることからも、見直しの検討を早急に講じていただきたい。 ② JR等の運賃の割引取扱い区間については、第1種及び第2種心身障害者が単独で利用する場合、片道100㎞超える区間に限られており、日常生活上、利用の頻度が高い100㎞以下には適用されていないことから経済的負担を大きくしている。障害者の移動や社会参加等が損なわれないよう、制度の見直しを講じていただきたい。 ③ 有料道路の障害者割引制度については、その対象を本人またはその親族等が所有する自家用車1台とされているが、障害者の社会参加促進や重度障害者等の利便性の観点から、現行制度における対象の要件を車両登録から障害者手帳の提示にすることが実情に見合っており、早急に制度を見直していただきたい。加えて、その料金割引の対象に障害者団体や福祉団体が利用する福祉バス等まで適用の対象範囲を拡大していただきたい。 ④ 地方において、路線バスの縮小あるいは廃止がされつつある傾向がみられるが、バス以外の移動手段をもたない障害者にとっては大変困難な状況となっている。代替移送手段の確保を含め、移動手段が確保されるよう、地方自治体等と一層の連携を図りながら対策を講じていただきたい。 Ⅱ.税制に関すること 社会的弱者である障害者の自立した生活が困難な状況に陥ることなく、安定安心した生活の保障がなられるよう特段の配慮をいただきたい。 1. 一般税に関すること ① 所得税、相続税、住民税、固定資産税、自動車重量税、介護費用等については、障害者の負担軽減となるような減免対策を講じていただきたい。 2. 消費税に関すること ① 予想される消費税増額については、軽減税率を導入し、低所得障害者への救済措置が講じられる仕組みを検討いただきたい。 Ⅲ.その他 障害者福祉が向上する上において、個々の障害者の声を代弁し活動している障害者団体の役割は極めて大きいと考えるが、その貢献度に反し、自助努力で、障害者団体活動の財源を確保することが厳しい現状にある。障害者団体の重要性に鑑み、現在おかれている状況を改善するための措置を講じていただきたい。 ① 障害者団体への助成制度といった安定かつ円滑な運用のための仕組み作り ② 身体障害者福祉法第22条(売店の設置)の見直しを含めた公共施設等の自動販売機の設置・運営の優先的許可 ③ 心身障害者用低料第三種郵便物制度の抜本的見直し 以 上