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2003年度(平成15年度)
中央障害者社会参加推進センター事業計画
2003/04/03
 本年2003年は、「障害者にとっての21世紀の幕開けの年」と言われている。
 国際的には、障害者の権利条約制定に向けた国連の動きが本格化する年となり、実現に向けた青写真を描くことができるのかどうか重要な年である。
そして、昨秋、滋賀県大津市で開催された国連アジア太平洋経済社会委員会主催・「アジア太平洋障害者の十年」最終年ハイレベル政府間会合では、各国・地域の政府や関係者が取り組むべき障害者政策・行動計画「びわこミレニアム・フレームワーク」が採択された。本年は「新・アジア太平洋障害者の十年」のオープニング・イヤーであり、RNN(アジア太平洋障害者の十年推進NGO会議)に代わる新しい組織・APDF(アジア太平洋障害者フォーラム)が結成された。

 国内では、新しい障害者基本計画、障害者プラン、支援費制度が相次いでスタートした。特に支援費制度は、「措置」から「契約」へ、障害者が自らの利用するサービスを選択できることを大きな特徴としている制度だが、国や地方自治体の深刻な財政難のなか、障害者福祉関係予算の大幅削減が懸念されており、障害者とくに重度障害者の福祉や自立生活は、危機的な状況に陥りつつある。

 また、障害者の地域生活を支える「市町村障害者生活支援事業」「障害児(者)療育等支援事業」の2重要事業が一般財源化され、自治体レベルで障害のある人々の生活をいかに支えるかが緊急の課題となっている。
国では3障害による共通の障害者施策が浸透し、また、最近では新しい生活機能と国際障害分類(ICF)が発表された。分類上で新たに環境因子が加えられたこともあり、障害と認定されていない難病団体など、中央障害者社会参加推進センターとして包含すべき障害や障害者の範囲は拡大しつつある。

 障害者社会参加推進センターは、さまざまな障害者や団体の関係者らが集い、生活保障や人権問題など、障害のある人々が直面するさまざまな課題を共にたすけ合いながら解決へ取り組むための、いわば「地域に住む障害者による障害者のためのハブ組織」としての機能を有する随一の機関として、その役割の大きさが改めて認識されているところである。
国でも中央障害者社会参加推進センター事業に対しては、本事業のほぼ従前どおりの予算額を計上している。「すべての人々の社会」の創造に向け、障害のある人々の生命と権利を守りぬく断固たる決意と、常に新鮮なアイデアをもって各種事業に取り組んでまいりたい。

地方障害者社会参加推進センター事業等の推進

 国の「障害者の明るいくらし」促進事業を各地域で推進する中核組織として期待されているのが、各都道府県・指定都市障害者社会参加推進センターである。
当事業の円滑な実施に万全を期すため、2002年中に整備が完了した「中央・地方障害者社会参加推進センターネットワーク」を駆使し、中央・地方間の連絡調整や情報提供体制の一層の強化を図る。

 また、障害者の地域生活支援の要である「市町村障害者生活支援事業」「障害児(者)療育等支援事業」の2重要事業が一般財源化された。地方障害者社会参加推進センターをはじめとする受託団体等では、事業の存続・発展に不安を抱く声が挙がっているため、中央障害者社会参加推進センターでは実態の把握に努め、必要な情報提供や適切な指導・助言等に全力を尽くす。


「新・アジア太平洋障害者の十年」等国際障害者活動事業への取り組み

 国連では現在、障害者の権利条約に関する特別委員会(アド・ホック委員会)が設置されており、4月上旬の開催が決まっている北京での国連ESCAP会議を受け、6月中旬には第2回特別委員会がニューヨークで開催されることが決まっている。
昨夏、条約制定に関する集中的な検討を行うために開催された第1回特別委員会へ傍聴団を派遣するなど、精力的な活動を展開しているわが国の主要障害者団体の活動を、中央障害者社会参加推進センターとしても側面的に支援する。

 アジア太平洋地域では、2012年までの10年間のキャンペーン「新・アジア太平洋障害者の十年」がスタートした。初年度の本年はシンガポールにてNGO国際会議の開催が予定されており、昨年2002年までのRNNキャンペーンと同様、新しい国際会議の成功のため、中央障害者社会参加推進センターとしても、わが国からも多数の障害者の参加を働きかける。
 国内事業としては、大阪府内及び東京都内で開催する「新・アジア太平洋障害者の十年」のオープニング・イヤーを記念するセミナーを、日本身体障害者団体連合会と共催する (大阪会場-11月6日・7日、東京会場-11月21日・22日)。
障害者権利条約やアジア太平洋地域における障害者施策の動向や、世界的に見ても影響力の大きいわが国の障害者施策の講義や障害当事者運動の進め方等についての考察等、障害当事者の立場から学び探究していくことを主な内容とし、日本障害者協議会など中央障害当事者団体の協力を得ながら、国内の関係団体の会員をはじめ幅広い層に参加を呼びかける。

障害者相談員活動強化事業

本年度事業としては、かねてより新任の障害者相談員等を対象にした教材等の作成を望む声を多数受けていたことから、新任カウンセラー養成研修ビデオ教材(解説アナウンス入り)を作成し、障害者相談にかかる基礎的な情報を提供することにより、相談技術の向上ならびに相談にかかる知識の習得を図り、地域の中で活躍できる障害者相談にかかるリーダー的なカウンセラーの養成を図る(社会福祉・医療事業団助成事業)。完成は2004年春の予定。
今春、身体障害者相談員・知的障害者相談員の相談活動を平易にまとめた「障害者相談活動の手引」を刊行する。これは活動事例集等作成編集作業で得られた反省点や全国の相談員からの寄せられた意見等をもとに、実際の相談員活動に活用できる冊子である。また、平成10年の身体障害者相談員活動事例集発刊を皮切りに、3障害共通の障害者相談員執務必携など、相談員の資質向上及び専門性の確立を図るため、毎年、相談員事業にかかる出版に力を注いできており、2003年度もこれらの頒布ならびに各地で開催される研修会などでの活用に努める。

 相談員研修事業では、2003年中央身体障害者相談員研修会を9月4日・5日の2日間、東京都内で開催するほか、地域6ブロックで行われるの相談員研修会に対しても助成を行う。

 また、障害種別の枠を超えた総合的な相談員研修会については、引き続き関係各方面からの意向を踏まえ、ニーズの把握等に努めた上で検討を行う。


人権擁護障害者110番事業の推進

 全国各道府県・指定都市に設置されている「障害者110番」のカウンセラーや障害者団体の関係者らを対象にした「人権擁護障害者110番事業研修会」を7月4日、東京都内で開催する。障害者権利条約や障害者差別禁止法に関する関心が高まっている中、より障害当事者の人権擁護の視点に立ったカウンセリング活動を推進するための専門的な研修内容とし、今年度は専門講義に加え、担当者の事例研究も行う。
 
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社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会
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