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知的当事者オブザーバーで発言する 
-第3回地域生活支援あり方検討会開かれる
2003/06/26
  6月24日、早くも検討会は第3回を迎えた。「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」である。この日ようやく知的当事者のオブザーバー参加が認められ、発言した。小田島栄一さん(ピープルファースト東久留米代表)、佐々木信行さん(ピープルファースト東京事務局長)、多田宮子さん(さくら会)、山田憲二郎さん(東京都知的障害者育成会本人部会ゆうあい会代表・全日本手をつなぐ育成会本人活動あり方検討委員会委員長)の4人である。
 「施設はひどい所だとみんなから聞いていて、施設生活は考えたことはない」、「都営住宅で暮らしたい」、「グループホームの方が良い」、「自立生活をするにはきちんとしたサポート体制が必要」などなどと4人は発言した。これは中西委員が「施設で暮らしたいと思っているかどうか、知的当事者オブザーバーに聞きたい」と発言し、それに答える形で発言したものだった。正式の委員としては残念ながら認められていないが、厚生労働省の検討会の中で知的当事者自身が発言したことは、ある意味で歴史的なことと言える。

 さて、その日の検討会であるが、前回に引き続き学識経験者以外の委員による意見発表であった。
 大濱眞委員((社)全国脊髄損傷者連合会理事)は、「契約に変わって、本当に自己選択できる制度となったか疑問がある。町田市に見られるように従来のサービスを下回っているところもある。重度障害者でも地域で普通に暮らすという視点での介護施策が重要である。高齢者と障害者とでは介護が違ってくる。障害者自身が介護者を今後養成することが重要で、パーソナルアシスタントシステムやダイレクトペイメントの制度から必要である」と発言した。

 笹川吉彦委員((福)日本盲人会連合会長)は「視覚障害者にとっては支援費制度が導入されガイドヘルプサービスが使いにくいものとなってしまった。手続きをする上で署名をどうするかなど問題点が多すぎる。これまでガイドヘルプサービスは本人のみの所得を基準に費用を出していたが、扶養義務者も対象となってしまった。社協自体がガイドヘルプサービスをやらなくなるところが多くなっている」と発言した。

 森祐司委員((福)日本身体障害者団体連合会事務局長)は、「支援費制度の実態調査を行う必要がある。ケアマネージメントシステムの導入を考えた方がよい。扶養義務者の費用負担について見直す必要がある。差別禁止法の検討も重要課題である。一方、施設の改革も重要で、ヒアリングなど施設などの場で検討会を行った方がよい」と発言した。
 竹中ナミ委員((福)プロップ・ステーション理事長)はビデオを使い、プロップ・ステーションを紹介しながら、「アメリカや北欧のように、チャレンジドが納税者になるという目標をもつことが重要である。働く能力を開発していき、障害者が働いて自立できるようになることが重要である」と発言した。

 早崎正人委員(大垣市社会福祉協議会在宅福祉サービス推進室長)は、地域生活支援サービスを担っている立場から発言し、「ケアマネジメント制度の導入は必要である。支援費の単価が介護保険に比べて低い。65歳以上の視覚障害者が介護保険で”自立”と判断されると、従来提供されていたサービスが認められなくなる」と発言した。

 村上和子委員((福)シンフォニー理事長)は「支援費制度になり、利用者も利用時間も増えている。支給量をある程度多く認定すると、利用者も安心し工夫するというゆとりが生まれる。児童の昼間の支援について柔軟に対応できるようにする必要がある。自治体の財源を確保していくことが求められる」と発言した。

 森貞述委員(高浜市長)は、冒頭5月に高浜市で起きた障害者とその親との無理心中について「非常に残念な出来事」と述べた上で、「高浜市では地域福祉に力を入れている。地域福祉計画や障害者計画をつくり、”地域福祉サービスを統合化”、”当事者主体の住民参加”などの理念で取り組んでいる」と発言した。

 これらの発言を受けての議論では、「介護保険サービスのあり方も見直そうとしている。身体介護や家事援助だけではないサービスを模索しようとしている」との意見も出た。

 中西委員は「新しい生活支援のあり方を具体化させていくために、ワーキンググループをつくり集中的な議論の場をつくったほうがよい」と提案した。これに対し事務局は「多くの人たちで情報を共有した方がよいと考えているが、検討課題としたい」と答えた。

 最後に太田(委員)は「知的当事者が今日大きな貢献をしてくれた。これからも期待したい。正式な委員としての参加を改めて求めたい」と述べた上で、オブザーバーにお茶が用意されていなかったので「用意するように」求めた。これについては「配慮したい」と事務局は回答した。
 次回は7月17日(木)に開催され、知的当事者と重症心身障害児を守る親の会などに対するヒアリングが行われる。
 
(6月25日発行・障害連FAXレターNo.44(編集人・太田修平氏 = 中央障害者社会参加推進
協議会委員)より転載)

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