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障害者施策の方向性、介護保険との統合問題について
厚労省に質問書を提出
2004/03/15
  日身連を含む中央障害者8団体では、介護保険と障害者支援費制度の統合問題に関し、勉強会などを通じて頻繁に意見交換を行っていますが、団体側では、今後の議論を進めていく上で、現時点で浮かび上がっている基本的な課題・問題点を一度整理したほうがよいと判断。
 3月11日、厚生労働省障害保健福祉部長宛に2つの質問書(以下参照)を提出しました。
 厚労省側からの文書回答はまだありませんが、これらの質問事項は、障害者施策全般を包括する課題と、地域生活支援サービスにかかる具体的な問題の2点にわたって構成されています。



平成16年3月11日

厚生労働省 障害保健福祉部長
塩田幸雄 様

                  今後の障害者施策の基本的な方向性に関する質問事項

 平素より障害者福祉の向上にご尽力いただき感謝申し上げます。
 ご承知のとおり、2000年にわが国の社会福祉制度は大きな転換点を迎えました。社会福祉基礎構造改革のもと、それまでの措置制度から「契約」による福祉サービスを提供して、提供者と利用者の対等な関係を構築し、利用者主体の制度を作るという、方向性の大きな転換がはかられました。
その制度上の仕掛けとして「支援費制度」が今年度より施行され、様々な改善すべき点はあるものの、制度の利用当事者からは高く評価されています。
 しかし、昨年末ごろより、制度の基礎的な理念の問題を抜きにした財政的な論議から、障害者施策と介護保険の統合が言われ始め、最近ではマスコミ等でも大きく取り上げられています。
 私たちはこの問題に関連して、厚生労働省側と様々な意見交換の場を持ってきましたが、話の中身が介護保険統合問題に終始し、施策を支える基礎的な理念や展望が全く見えてきていません。
 介護保険制度が障害者の地域生活や社会参加を保障するものとなりうるのかという点に関して大きな疑念を持っており、財政論のみの理念なき統合の議論をみると、政府の障害者施策の方向性について非常に危惧せざるを得ません。
 こうした問題意識から、障害者施策の基本的な課題について以下のとおり要望いたしますので、できるかぎり早急にご回答下さいますようお願いいたします。

                         記

1.障害者政策の給付単位について、障害者の自立した地域生活を推進するために、世帯単位から個人単位に変更すること。

2.障害の定義・認定のあり方については、いわゆる三障害だけではなく、あらゆる障害を包括できるものにし、日常生活や社会生活の支障の度合いをきちんと反映できるものとすること。

3.憲法に保障された基本的人権を実質的に保障するため、障害者の年金政策など、所得保障をきちんと行うこと。
  特に無年金障害者をなくすための施策を早急に行うこと。

4.脱施設化を進め、地域生活を支援していくため、公営住宅の整備、グループホームなどの整備、家賃補助の制度化、バリアフリー化に向けた改造施策などの多様な住宅政策をとること。

5.わが国における障害者の劣悪な就労状況を改善するため、多様な就労の場を用意し、ひとりひとりに合った就労支援システム、社会参加システムを構築すること。

6.国の障害者施策の土台となる包括的な社会サービス法、あるいは総合的な障害者福祉法などの制定に向けた研究に着手すること。

要 望 団 体
社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長   兒玉 明
日本障害者協議会  代表   河端 静子
特定非営利活動法人 DPI日本会議 議長   山田 昭義
社会福祉法人 日本盲人会連合 会長   笹川 吉彦
財団法人 全日本聾唖連盟 理事長 安藤 豊喜
社団法人 全国脊髄損傷者連合会 理事長 妻屋 明
社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 理事長 藤原 治
財団法人 全国精神障害者家族会連合会 理事長 小松 正泰

              
 











                                        平成16年3月11日

厚生労働省 障害保健福祉部長
塩田幸雄 様

             介護保険と障害者施策の統合に関する質問

 日頃より障害者福祉の向上にご尽力いただき感謝申し上げます。
 さて、介護保険と障害者施策の統合の是非について、1月29日から6回にわたる検討の場を障害者8団体と厚生労働省との間で持ってきました。
 しかしながら、まだなお多くの課題があり、さらなる検討が必要であると考えおります。
 また、私たち障害者8団体の会員のみならず、多くの障害者及びその関係者もこの問題について大きな関心を持っています。
 つきましてはこれまでの検討の内容を踏まえ以下の質問をさせていただきますので、現段階におけるお考えを早急に示していただけますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

                        記

(全体施策との関係)
1.介護保険を障害者施策に適用する場合、現行の全ての障害施策について、介護保険の対象になるもの、支援費の対象となるもの、措置の対応となるもの、その他の各種施策での対応になるものがあると考えられるが、その全体像についてどう考えられているのか。
  一例としてあげれば、
 ・支援費の居宅サービス・施設サービス
 ・通所授産施設・小規模通所授産施設・小規模作業所、就労支援施策
 ・ガイドヘルプ(移動介護)
 ・手話通訳
 ・日常生活用具、補装具
 ・更生医療
 ・精神障害者の福祉と医療との範囲
  など、現行の全ての障害者施策について示していただきたい。

2.介護保険を障害者施策に適用した場合、支援費制度はどうなるのか。

3.障害者の地域生活支援システムという観点から、介護サービスを底上げしていく展望があるのかどうか。

4.介護保険(メインシステム)及び介護保険以外の施策(サブシステム)の組み合わせについて、高齢者施策の現状では介護保険以外のサブシステムが十分機能していない。介護保険を障害者に適用した場合、サブシステムは高齢者施策以上に重要になってくるが、これについてどのように考えられているのか。

(理念について)
5.現状の障害者施策と介護保険において、「自立」「社会参加」などの概念が違うと思われるが、これについてどのように考えられているのか。

6.介護保険を障害者施策に適用した場合、今後の施設からの地域生活移行についてどのような方向性・展望をもたれているのか。

(利用者負担について)
7.障害者を統合する場合に保険料や利用者負担の低所得者に対する方策について、現行より新たなものを考えているのか。

(申請・契約などの利用援助について)
8.視覚障害者・聴覚障害者については、支援費においても手続き支援、コミュニケーション支援が不十分であり、申請や事業者との契約ができないためにサービスを利用しづらい状況がある。現行の介護保険には、手続き支援、コミュニケーション支援の点でさらに不安があり、これついてどのような対応を考えられているのか。

(要介護認定について)
9.介護保険の79項目のアセスメントでは、全身性障害・知的障害・精神障害・視覚障害者・聴覚障害者・言語障害等、多様な障害のアセスメントを行う際に十分ではないと思われるが、これについてどう考えられているのか。
  また、障害者にとって重要な社会参加のニーズのアセスメントについてどう考えられているのか。

(ケアマネジメントについて)
10.現行の障害者ケアマネジメントと介護保険の居宅介護支援では理念・手法・従業者の養成などに多くの違いがあるが、これをどのように考えられているのか。

11.サービスがケアプラン通りに行われる介護保険に比べ、支援費のサービス利用は比較的自由度が高くなっているが、これについてはどう考えられているのか。

(支給限度額について)
12.介護保険の支給限度額ではサービスが不足する障害者がでてくるが、この対応として具体的にどのような方策が講じられるのか。
  税による二階建ての仕組みが検討されているという報道もあるが、税による二階建ての仕組みをとる場合、税部分の財政安定化を図るために具体的にどのような方策が講じられるか。

13. 要介護認定が仮に3ないしは4の場合であっても、税による二階建てサービスが展開し得るのかどうか。

(ホームヘルプサービスについて)
14.介護保険ホームヘルプは本人への支援のみに限定されるため家事援助の不適正事例が定められているが、障害ホームヘルプでは障害者が自立して生活するための援助が目的のため子育て支援や家族も含めた家事援助も認められている。
  これについてはどう考えられているのか。

15.視覚障害者の透析利用者の身体介護を伴うガイドヘルプについて、介護保険の中でどう対応するのか。

16.現行では精神障害者のホームヘルプサービスの認定に医者がかかわっているが、介護保険ではどうなるのか。

17.介護保険ではホームヘルパー資格3級以上を必要とするが、支援費では日常生活支援、ガイドヘルパー(視覚障害・全身性障害・知的障害)の障害独自の資格制度があり、これについてはどう考えられているのか。

(グループホームについて)
18.グループホームについて支援費では出身地の市町村が支援費を支給しており、介護保険ではグループホームのある居住地の市町村が被保険者になっていることの違いがあるが、これについてはどう考えられているのか。

19.介護保険のグループホームは他の居宅サービスとの併給ができないが、支援費のグループホームはホームヘルプ、ガイドヘルプの併給ができている。これについてはどう考えられているのか。

(給付方法)
20.給付方法についてダイレクトペイメントの導入の意思があるか回答を要求したい。

要 望 団 体
社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長   兒玉 明
日本障害者協議会  代表   河端 静子
特定非営利活動法人 DPI日本会議 議長   山田 昭義
社会福祉法人 日本盲人会連合 会長   笹川 吉彦
財団法人 全日本聾唖連盟 理事長 安藤 豊喜
社団法人 全国脊髄損傷者連合会 理事長 妻屋 明
社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 理事長 藤原 治
財団法人 全国精神障害者家族会連合会 理事長 小松 正泰














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