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障害者8団体と厚労省の勉強会報告・詳細版
(3月18日開催)
2004/03/26
  午後5時からは、村木課長、間課長補佐をはじめとする障害福祉部と、老健局から渡辺企画官の出席のもとで話し合いを行った。
 前回、提出した「介護保険と障害者施策の統合に関する質問」に基づき、障害者団体側と厚労省側とでやりとりをする形で進められた。

「障害者を統合する場合に保険料や利用者負担の低所得者に対する方策について、現行より新たなものを考えているのか」
「介護保険の見直しの中で、利用者負担について、充実させるということは言われている。具体的な案にはなっていないが、課題として考えている。現行の保険料設定は本人や世帯の所得の状況に応じて5段階になっている。中でも「住民税非課税世帯」を対象とした第2段階は層が広く、この中でより低所得の層に対して何か方策がとれないか検討している。しかし、住民税非課税というくくりの中で、所得の低い層を補足するのは事務的に難しいという課題もある。介護保険の制度外にも、生活保護の単給や社会福祉法人が減免してそれに補助する仕組みを作っている。これをもっと活用できないか。」
「視覚障害者・聴覚障害者については、支援費においても手続き支援、コミュニケーション支援が不十分であり、申請や事業者との契約ができないためにサービスを利用しづらい状況がある。現行の介護保険には、手続き支援、コミュニケーション支援の点でさらに不安があり、これついてどのような対応を考えられているのか。」
「視覚・聴覚障害者の手続き支援、コミュニケーション支援は措置から移行した際の課題であり、支援費・介護保険の両制度とも十分とはいえない。相談支援の在り方、手話通訳の人材養成などやるべき課題が多い。」
「介護保険の79項目のアセスメントでは、全身性障害・知的障害・精神障害・視覚障害者・聴覚障害者・言語障害等、多様な障害のアセスメントを行う際に十分ではないと思われるが、これについてどう考えられているのか。また、障害者にとって重要な社会参加のニーズのアセスメントについてどう考えられているのか。」
「要介護認定のプロセスは必要だが、基準は見直しはしていく。社会参加のニーズは高齢者にとっても必要で、個別給付、事業仕立てなどどういう形で介護保険でやるかはまだ検討中である。それによってアセスメントの方法も変わってくる。」
「現行の障害者ケアマネジメントと介護保険の居宅介護支援では理念・手法・従業者の養成などに多くの違いがあるが、これをどのように考えられているのか。」
「ケアマネジメントは現行の介護保険でも全て上手くいっているわけでない。介護保険のサービス以外のソーシャル的なマネジメントも考えないといけない。障害者は介護だけでなく、住まい、雇用の問題も含めてマネジメントが必要である。高齢者も総合的に考えており、障害と同じである。ケアマネージャーの人材の養成も課題である。」
「サービスがケアプラン通りに行われる介護保険に比べ、支援費のサービス利用は比較的自由度が高くなっているが、これについてはどう考えられているのか。」
「ケアプランの問題は支援費は自由度が高いというが、介護保険のケアプランも事情によって変更できる。事業者やケアマネに連絡して、月の最初と終わりとではケアプランの変更が可能である。」
「介護保険の支給限度額ではサービスが不足する障害者がでてくるが、この対応として具体的にどのような方策が講じられるのか。税による二階建ての仕組みが検討されているという報道もあるが、税による二階建ての仕組みをとる場合、税部分の財政安定化を図るために具体的にどのような方策が講じられるか。また、要介護認定が仮に3ないしは4の場合であっても、税による二階建てサービスが展開し得るのかどうか」
「支給限度額の問題を障害者団体が懸念していることは十分理解している。どれだけのニーズがどのくらいあるのかを、データの積み上げと範囲の明確化の議論していかなければならない。必要なサービスを介護保険と他の財源との組み合わせでカバーすることになる。要介護認定3、4でさらにサービスが必要な場合は、まずアセスメントの仕組みが適切かどうかを考えないといけない。」
「介護保険ホームヘルプは本人への支援のみに限定されるため家事援助の不適正事例が定められているが、障害ホームヘルプでは障害者が自立して生活するための援助が目的のため子育て支援や家族も含めた家事援助も認められている。」
「介護保険の家事援助の適正化については誤解があって、生活援助は高齢者自身が生活する際にできないことを補うものであり、高齢者と一緒に食事を作るような行為は生活援助として必要である。問題になっているのは、高齢者と接触がなく単なる家事代行的なサービスになっていないかということである。」
「視覚障害者の透析利用者の身体介護を伴うガイドヘルプについて、介護保険の中でどう対応するのか。」
「視覚障害の身体介護の伴うガイドヘルプについて、現行の介護保険でも身体介護が必要であれば、乗降介助やホームヘルプの身体介護で通院時の介護を行っている。」
「現行では精神障害者のホームヘルプサービスの認定に医者がかかわっているが、介護保険ではどうなるのか。」
「現行では精神障害者のホームヘルプは医者の必要という判断がいる。介護保険はそういう手続きは無く、要介護認定の時に医者の意見書はあるが、個々のサービスを使うときに医者が意見をいうということにはならないだろう。」
「介護保険ではホームヘルパー資格3級以上を必要とするが、支援費では日常生活支援、ガイドヘルパー(視覚障害・全身性障害・知的障害)の障害独自の資格制度があり、これについてはどう考えられているのか。」「障害独自の資格制度については、日常生活支援やガイドヘルプを介護保険の中でどう位置づけるのか。ホームヘルプにするのか別の事業にするのか、その位置づけによって変わってくる。」
「グループホームについて支援費では出身地の市町村が支援費を支給しており、介護保険ではグループホームのある居住地の市町村が被保険者になっていることの違いがある。
  また、介護保険のグループホームは他の居宅サービスとの併給ができないが、支援費のグループホームはホームヘルプ、ガイドヘルプの併給ができている。これについてはどう考えられているのか。」
「支援費の際には、特定の地域でグループホームが集中すると自治体が大変になるということで居住地にした。知的障害者、精神障害者のグループホームは住まいの場であり、本来はそこの住民ということになるが、まだグループホームの整備が限られている状況もある。住所地特例をつくるかどうかは自治体の意見もよくきいて、グループホームの整備をしていく中で検討する。
 高齢者のグループホームと知的障害者のグループホームは性格が違っていて、高齢者のグループホームは全てのサービスがセットになっている。知的障害者のグループホームは住まいであり、そこにヘルパーがきたり、外出のガイドヘルプがあったり、施策として違っている。今後のグループホームについて、今のような住まいとしての考え方でいくのか、もっとパッケージになったものが必要なのかは検討していきたい。」
「給付方法についてダイレクトペイメントの導入の意思があるか。」
「ダイレクトペイメントを直接現金を渡すこととするなら、その使途や透明性について議論していかないといけない。」
「支援費の支給決定の勘案事項には、本人がどういう生活をしたいかの意向が含まれている。今の介護保険のアセスメントは本人の生き方がどう反映されるのか。ひとりひとりの生き方がどう保障されているのか。」
「現在の勘案事項でも、自治体は苦しんでいる。本当にいいのかどうか自信がないのが現実で、数値化すればいいという乱暴な話ではないが、外出の部分は課題としてある。何でも要介護認定でがいいのかどうか、ガイドヘルプについては、使いやすさを含めて考えていく必要がある。」

 また、障害者団体と厚労省の協議が始まって2ヶ月がたち、今後のスケジュールについては「社保審・障害者部会の議論が4月28日までに一巡する。介護保険部会でも被保険者の範囲が議題になる。審議会でなされた議論についても紹介したい。障害者部会では5月以降、障害者団体のヒアリングもして、どういう問題があるのか議論する。審議会を開催しながら、障害者団体の意見も聞いていきたい。」ということであった。
 また、障害者8団体で4月30日に公開の場でシンポジウムを行い、厚労省からも出席いただいて、障害者施策と介護保険の統合について広く議論を行う場を設けることについても決定された。
(編集人・三澤了(DPI日本会議))


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