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氷山の一角か? 障害者狙った悪質犯罪相次ぐ 2007/03/07
 今年に入り、障害者を狙った犯罪が相次いで明るみに出ています。

 先月14日、手話を巧みに使い、聴覚障害のある人たちから多額の金をだまし取っていたとして、警視庁・山梨県警察合同捜査本部が、東京都内の福祉機器販売会社の女社長ら3人を、詐欺の疑いで逮捕しました。
 この女社長は、兄に聴覚障害があったことで幼少のころから自然と使っていた手話を‘悪用’。警察の調べに対して「詐欺と言われても仕方ない」と、容疑をほぼ認めているようですが、「手話を話してくれる人は良い人だ」と信じてお金を預けてしまった被害者らの心の弱みにつけ込んだ、卑劣な犯行と言わざるを得ません。被害は10都県に及び、被害者の数は250名以上、被害総額も27億円に達すると見られています。
 
 また、同じく先月、知的障害者になりすまし不正に原付運転免許証を取得のうえ、身分証明証として悪用し、銀行の預金通帳をだまし取ったり、消費者金融から借金をしたとして、横浜市内在住の男2人が、詐欺の疑いで神奈川県警察に逮捕されました。
 容疑者らは、障害者通所作業所から出てくる知的障害者の後をつけ、本人宛ての郵便物を盗み取り、氏名などを確認した上で区役所に行き、「免許取得のため」と言って住民票を申請していました。職員が身分証明証の提示を求めても、容疑者らは知的障害者になりすまし、「(身分証明証は)もっていない」と答えたうえで、盗み取った郵便物を提示したりしたため、応対した職員はだまされてしまいました。
 不正に取得した免許証は10名分以上あると見られており、警察では余罪を追及していますが、容疑者らは「知的障害者なら、被害を訴えられることはないと思った」と供述している模様です。
 
 この2つの事件に共通していることは、あからさまに障害のある人たちを標的にした上で、犯行に及んでいる点です。
 障害のある人が社会の一員として活動していく上で、本人を取り巻く一般市民・地域コミュニティの理解や支援は不可欠です。
 こうした理解や支援が障害のある人々の安全を守る力にもなり得るのですが、その一方で犯罪の手口も巧妙・悪質化しており、100%の防犯実現は難しいのが現状です。また、こうした事件は、全国的に見れば「氷山の一角ではないか」と見られています。
   
 今回の事件が障害者本人や家族、関係者だけでなく、社会全体に与えた衝撃は非常に大きいものがあり、容疑者らに対しては厳罰が求められるところです。しかし同時に、障害者差別を禁止する国内法の早急な整備を進め、国として、障害者への差別をなくし人権と生活を守るのだという強い姿勢を、立法をもって示すことが大切です。



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