東日本大震災から7年、熊本地震から2年が、まもなく経とうとしている。未曾有の災害に被災し、今も避難生活を過ごしている障害者、家族のかたがいる。私たちは、今の実情をしっかりと受けとめ、災害発生時において、避難移動において、また、避難生活において、被災した方達が、どのような困難と直面したか、その方達の経験から、そのことを再確認し、課題解消にむけた提案を発信することの必要性を、あらためて感じる。  共生社会をめざす我が国において、誰もが取り残されることなく災害から身を守られ、また、避難せざるを得ない状況においては、障害の特性に配慮した支援が行われ、被災者として平等の扱いになるように、現在生じている課題を解消すべく、対応策が講じられることが求められる。  私たちは、災害において生じたさまざまな問題と、被災者の教訓を忘れることなく、今後に生かしていくことを責務とし、現在置かれている避難生活における課題解消および今後の防災減災対策の向上にむけ、「私たちの伝えたいこと、伝えたい思い」として、ここに、提言する。 1. 仮設住宅のバリアフリー化は、遅々として進んでいない状況がみられます。現行の仮設住宅の基準の実態と問題点を明確にし、不安なく避難生活ができる環境を整えてください。 2. 避難所については学校のバリアフリー化(トイレ、段差解消等)が進んでいることは承知していますが、全国すべての学校のバリアフリー化をめざして進めてください。 3. 避難所での避難生活は、被災したショックを抱えたなかでの生活になることに加え、障害特性により避難所の環境に耐えられないケースについては、障害特性に沿った合理的配慮(例えば、居場所の確保、車いすでも利用可能なトイレの設置、音声・文字等による情報コミュニケーション保障等)、を確認し、丁寧な対応(提供)を行ってください。 4. 避難行動要支援者名簿の作成及び活用については、支援を必要とする方が取り残されることのないよう、実態を把握し、地域間の格差がないようにしてください。 5. 防災訓練の重要性に鑑み、当事者参加を基本に、障害特性に配慮し、誰もが同じように参加できる仕組みと体制を構築してください。                           2018年3月3日                           社会福祉法人日本身体障害者団体連合会                                          会長  阿部 一彦