平成31年1月30日 自由民主党ユニバーサル社会推進議員連盟 会長 石破 茂(いしば・しげる)様 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 会長 阿部 一彦(あべ・かずひこ) 要望書  日頃より障害者福祉の向上にむけご尽力いただき深く感謝申し上げます。  障害者権利条約の締約国として、障害を理由に分けへだてられることなく、誰もが安心してくらせる共生社会の実現にむけ、さらなるご尽力をいただけますようお願い申し上げます。そして、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会を契機として一層の障害及び障害者に対する理解啓発の促進が図られますよう、官民一体となった取組の促進を含め、特段のご配慮をいただけますことを要望いたします。 1.改正バリアフリー法及び関連施策について  障害者権利条約(第9条施設及びサービス等の利用の容易さ及び第20条個人の移動を容易にすること)を反映した施策の推進としていただきたい。  また、バリアフリー施策の検討・評価にあたり、障害者等が自ら参画し、その視点を施策に反映させることが重要として設置された評価会議においては有益な検討が行えるよう環境を整えていただくとともに、地方においても同様の仕組が義務づけられるよう図っていただきたい。※要望事項については、「別紙1」のとおり 2.ユニバーサル社会実現推進法について  本法により諸施策の全体像が国民に見える形になるとともに、施策の実施段階において障害者や高齢者等の意見が反映されることは大変重要な点であると考えます。加えて、2020オリンピック・パラリンピック東京大会以降をも見据えたユニバーサル社会として、総合的かつ一体的に取組んでいただきたい。また、諸施策が都市部と地方部で格差なく実行されることが肝要であることから、地域の特性を踏まえつつ、地方公共団体においてもその責務が遂行されるための財政上の措置を講じていただきたい。  また、ユニバーサル社会推進会議をすすめるにおいて、障害者権利条約を踏まえ、障害者を積極的に関与させる仕組みを講じていただきたい。 3.平成31年度予算案について  ユニバーサルデザイン2020行動計画の完全実施に向け一層の取組強化を図っていただくとともに、障害者参画の重要性を捉え充分な協議検討が行える環境を講じていただきたい。また、都市部だけでなく地方部への波及が求められることから、例えば評価会議の地方版といったことの仕組みを作っていただきたい。  そして、東日本大震災以降、熊本、大阪、北海道の大規模地震や豪雨大雪等の大規模災害による被災障害者等の対応や防災減災に向けた地域の取組に係る地方自治体への指導を含め、取り組んでいただきたい。※要望事項については、「別紙2」のとおり 以上 別紙1 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 改正バリアフリー法及び関連施策に関する日身連の要望事項 1.方向性について ①障害の社会モデルの理念をバリアフリー法制に具体的に反映すること ②5年後の見直しにおいて「移動の権利」を明記するなど法律の目的を明確に規定すること ③ユニバーサルデザイン2020行動計画で示された諸施策の着実な実施と、評価会議での提案を反映すること ④地方部においてもバリアフリー施策の検討及び評価に際し障害者が委員等として参画する仕組みを確立すること ⑤改正バリアフリー法にもとづきバリアフリー化の進展状況の把握及び評価のための会議を定期的に開催するとともに、その評価結果が施策に反映されるようにすること 2.特に検討が必要と思われる個別的課題 ①地方部のバリアフリー化の取組の推進 ・都市部だけでなく地方部への波及効果を生む取組となるよう進めることを基本に、市町村のマスタープラン・基本構想の作成を促進するとともに、作成に当たっては障害者・高齢者の意見を取り入れ、地域の実情に見合う整備を図ること ②駅ホームの転落等事故防止にむけホームドアの設置の一層の促進 ③駅等旅客施設や関連施設における経路の円滑な移動(エレベーターの設置場所や大型化、階段や段差解消、エスカレーター利用の安全確保) ④個別施設のバリアフリー化にとどまらず、交通結節点におけるバリアフリー化の推進 ⑤障害特性に配慮した情報提供の確保 ⑥観光バス、高速バスのバリアフリー化の促進 ⑦ハンドル型電動車いすを含む新幹線及び特急車両の車いす用スペースの確保(指定席予約方法含む) ⑧船舶のバリアフリー化の促進強化(多機能トイレや段差解消) ⑨ホテル旅館のユニバーサルデザイン化の促進(一般客室の活用を含めた実現可能なバリアフリールームのあり方の検討や情報提供の促進) ⑩無人駅や地方の路線バス縮小や廃止に対する移動の確保と安全対策の構築 ⑪事業者が率先して障害理解にむけた研修実施の促進や行政機関・事業者が連携した心のバリアフリーの周知啓発にむけた促進 ⑫パラ等競技スポーツ選手への財政的支援を含めたサポート体制の充実ととも に、競技場やスポーツ施設のバリアフリー化促進や施設関係者の障害理解の啓 発促進 ⑬競技スポーツに留まらず、障害者にとってのスポーツの意義の大きさに鑑み、日常生活におけるスポーツの一層の普及振興 ⑭視覚障害者、聴覚障害者の方に加え、失語症や知的障害、発達障害等、情報 保障を必要とする障害者に対する情報保障(緊急時や災害時を含め、誰もが分かりやすい表示に可能な限り統一する等の検討) 2.心のバリアフリー関連 ①教育の連携(幼稚園・保育所・認定こども園、小中学校、高等学校、大学等)と先駆的な好事例の共有、波及効果に向けた取組 ②学生ボランティアの全国展開にむけた具体的な取組の好事例の情報共有 ③企業の社員研修の充実と実効性にむけた障害者団体との連携協力への財政的支援 3.災害関連 ①東日本大震災や熊本地震により避難生活を続けざるを得ない被災者の現状を受けとめ、地元自治体と連携した復興対策の強化 ②応急仮設住宅のバリアフリー化の課題(仮設住宅の規格の見直し)、相談支援活動を行っている民間団体等への資金援助等も含めた支援体制の強化 ③避難訓練を含め、防災減災に向けた取組のあり方の検討・避難所の整備(特に学校)、雪害や水害等を視野に災害に強い街づくりの取組 以上 別紙2 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 平成31年度予算税制等に関する要望(抜粋) Ⅰ.予算に関すること 1.『ユニバーサルデザイン2020行動計画』の完全実施について ①ハード・ソフト両面におけるバリアフリー化(公共交通機関、公共施設、宿泊施設、接遇等)の促進が図られているが、地方部(無人駅、路線バス縮小等含む)におけるバリアフリー化についても取り残されることがないよう促進にむけた検討を行っていただきたい。また、行政機関や事業者等における障害理解の研修についても好事例の共有と継続した研修に努めていただきたい。 ②ICT活用によるバリアフリー促進に向けた積極的な検討を期待するものですが、利用者の視点からの整備に向けた府省庁の横断的な検討と、改善を目的とした継続的な検討が必要と考えます。関係する府省庁が連携協働し、必要とされる情報コミュニケーションのあり方が共有されたなかで進めていただきたい。 2.国等行政機関における障害者雇用の水増し問題について  関係閣僚会議で障害者雇用に関する基本方針が決定されましたが、透明性のある再発防止に向けた改善策の検討はもとより、数合わせで終わることなく、雇用の定着や働きやすい職場環境の整備等を図り、働く人の視点に立った改革を実現していただきたい。 3.旧優生保護法による強制不妊手術問題について  現在、超党派の議員連盟や与党ワーキングチームで、この問題に対する救済策の早期制定の検討が議論されていることは承知していますが、全国におよぶ被害者の方に対し、真摯に向き合い、謝罪はもとより同じ過ちが繰り返されることがないよう、国としての姿勢を示していただきたい。 4.改正障害者基本法・障害者虐待防止法・障害者差別解消法の法施行後の見直しについて  改正障害者基本法及び障害者虐待防止法については、施行後3年を経過した状況に検討を加え、必要な措置を講じるものとされていますが、両法律ともに、諸課題に関する検討がされていない状況です。速やかに検討を行っていただくとともに、本年施行3年をむかえる障害者差別解消法についても状況を勘案し検討を行い、必要な措置を講じていただきたい。 5.災害時における被災障害者等への対応について  東日本大震災の教訓を踏まえ、法改正を含め、国及び地方自治体での取組が進められていることは承知していますが、熊本地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震においても避難や避難所(応急仮設住宅含)生活における課題が見受けられました。課題解消は、場面ごとの困難なことや必要とする支援・対応をしっかりキャッチすることが肝要であり、被災経験者の提案や取組の好事例等の重要な参考資料になると考えます。地域防災計画が計画倒れになることなく、行政と地域が一体となって、災害への対策を講じていただきたい。 6.学校卒業後の障害者の学びについて  生涯学習、教育、スポーツ、文化の施策全般にわたり、生涯を通じた障害者の多様な学習活動を支援するための取組みについて期待しているところです。学校教育段階から将来を見据えた活動の重要性や福祉等の分野の取り組みと学びの連携強化、社会教育と特別支援教育・障害者福祉等をつなぐ人材の育成、また、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとしての生涯教育といったことについての議論を積み上げていただき、実態に即した施策が実施されるよう取組んでいただきたい。 7.社会参加の促進にむけた交通手段の諸課題の解消について  JR等の運賃割引(鉄道単独利用100km以下の適用、JRジパング倶楽部の対象新幹線の拡大、有料道路の障害者割引制度の対象緩和等)の運用の取扱いについて、現状に鑑み、見直しを検討していただきたい。 Ⅱ.税制について 1.所得税、相続税、住民税、固定資産税、自動車重量税等については、障害者の生活に困難な状況に陥らないよう、負担軽減となるような減免対策を講じていただきたい。 2.2019年10月に予定されている消費税引上げについて、低所得の障害者への救済措置が講じられる仕組みを検討いただきたい。 Ⅲ.その他  障害者福祉が充実・向上する上において、個々の障害者の声を代弁し活動している障害者団体の役割は極めて大きいと考えているが、その実績や貢献度に反して自助努力で障害者団体活動の財源を確保することが厳しい現状下に置かれている。是非とも、障害者団体の重要性に鑑み、現在の状況改善にむけた措置を講じていただきたい。 ⅰ.障害者団体への助成制度といった安定かつ円滑な運用のための仕組み作り ⅱ.身体障害者福祉法第22条(売店の設置)の見直しを含めた公共施設等の自動  販売機の設置・運営の優先的許可 ⅲ.心身障害者用低料第三種郵便物制度の抜本的見直し 以上