令和4(2022)年度 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 事業計画 基本方針:  一昨年より新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響を受け、社会経済が低迷するなか、団体活動においても困難な状況が続いている。未だ、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないが、日本身体障害者団体連合会(以下、「日身連」という。)は、団体運営に支障をきたさないよう、積極的にICTの活用を取り入れるほか、加盟団体へのサポート等を含め、円滑な運営に努める。  最重要課題の組織体制強化並びに財政問題の安定化については、正副会長会を中心に、2つの検討委員会(日身連財政の安定化に対する検討委員会(以下、「財政検討委員会」という。)並びに日身連組織体制強化及び障害者施策等に関する検討委員会(以下、「組織・施策検討委員会」という。))において取り組む。また、会員の高齢化等の問題に向き合い、加盟団体と連携のもと、地域における障害者の社会参加の重要性の視点に立ち、課題解消にむけ努める。  加盟団体との連携強化にあたっては、オンラインを活用して、障害者を取り巻く環境整備や障害者施策の課題等についての情報共有や意見交換等の場として作業部会を活用する等の新たな取組に努める。  さらに、東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京オリパラ」という。)を契機に高まった障害理解への関心が地域社会に根づくよう、国や事業者へ働きかけるとともに、日身連が発信者となり障害理解の促進を図り、地域共生社会の実現にむけ取り組む。  この基本方針に基づき、日身連は、「私たちのことを私たち抜きに決めないで(Nothing about us, without us)」の精神をもち、令和4年度における事業を実施し、日身連並びに加盟団体の一層の活動の充実を図り、社会福祉法人の責務を果たすため地域福祉の向上に努める。 日身連の主な事業; 1.「第67回日本身体障害者福祉大会ふくおか大会」の開催  新型コロナウイルス感染症の影響により通常の開催とはせず、6月20日、オンラインによる録画配信で開催する。内容は、御手洗潤氏(東北大学大学院教授、元内閣官房 東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局参事官)による講演と日身連会長表彰等の式典と議事(大会決議、大会宣言等)を執り行う。 2.国及び政党等に対する要請行動並びに審議会等への積極的参画 (1)内閣府障害者政策委員会や厚生労働省審議会をはじめ、府省庁の委員会や政党の会議等において、加盟団体の要望等を踏まえ意見具申に努める。また、障害者関連施策等の情報を遅滞なく共有できるよう、日身連ホームページ(加盟団体専用サイト)や機関紙等を活用し、加盟団体へ情報提供する。 (2)国への「日身連要望事項」については、組織・施策検討委員会並びに正副会長会で取りまとめ、関係府省庁へ地域の声として提出する。要望事項に対する府省庁からの回答は冊子に整理し、加盟団体へ配布する。 (3)障害者権利条約を踏まえ取りまとめられた「ユニバーサルデザイン2020行動計画」により障害関連の施策が進められているなかにおいて、障害当事者の参画のもとで着実に施策が実行されるよう、国や政党等への提言に努める。 (4)障害理解の啓発促進に関しては、国や政党へ働きかけていくとともに、国の委員会や研究会はじめ、民間事業者のアンケート調査等の協力にも努める。 (5)緊急を要する事項については、迅速に対応できるよう、会長を中心に正副会長会及び検討委員会と連携し取り組む。 (6)心身障害者用低料第三種郵便物制度の要件問題等の継続要望事項については、日本障害フォーラム(JDF)及び全国障害者団体定期刊行物協会連合会と連携して、現況の問題解決にむけ取り組んでいく。 3.新型コロナウイルス感染症対策及び災害時における対応について  日身連要望事項はじめ、政党のヒアリング等において、障害特性に配慮した対策が講じられるよう、引き続き、提言を行っていく。  新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、事業活動や団体運営に困難を抱えている課題については改善を求め、国や政党への働きかけに努める。また、近年は大規模な自然災害が懸念されることから、適切かつ迅速に対応ができるよう、「大規模災害における日身連の対応方針」に基づき準備体制を図っていく。  災害時の避難所の整備や避難生活に係る課題については、東日本大震災等の教訓を踏まえ、接遇やバリアフリー化の整備、情報保障の確保等に障害当事者の意見が反映され、整備促進が図られるよう提言を行っていく。加えて、防災訓練や防災減災対策の検討等の場においては当事者参画が徹底されるよう、国等への働きかけにも努める。 4.中央障害者社会参加推進センター事業の拡充 (1)障害者の人権保障や障害を理由とする差別の禁止、合理的配慮の提供に関する理解促進にむけて、一層の周知啓発を図るとともに研修等に努める。 (2)障害者の権利擁護事業を目的とする障害者110番事業については、相談事業担当者のスキルアップにむけた研修をオンラインで開催するほか、最新情報の提供等にも努める。 (3)障害者の社会参加の促進にむけた意見交換や交流を目的に、中央障害者団体及び学識経験者等で構成される中央障害者社会参加推進協議会(14団体)及び中央障害者社会参加推進協議会部会(11団体)合同委員会を開催し、事業の拡充に努める (4)障害者相談員のスキルアップや情報交換、研修事業の重要性に鑑み、6ブロック(東北・北海道/仙台市、関東甲信越静/埼玉県、中部/富山県、近畿/滋賀県、中・四国/広島県、九州/鹿児島県)で開催する障害者相談員研修会への助成及び府省庁等へ講師派遣の調整を行う等、研修事業の充実を図る。 (5)そのほか、中央並びに地方障害者社会参加推進センター事業のネットワークの強化を図る。さらに、オンラインを活用し、各センターから情報発信や情報共有ができる場を構築する等、事業の活性化に努める。 5.障害者相談支援事業の充実 (1)障害者相談員のスキルアップや情報交換、研修事業の重要性に鑑み、6ブロック(東北・北海道/仙台市、関東甲信越静/埼玉県、中部/富山県、近畿/滋賀県、中・四国/広島県、九州/鹿児島県)で開催する障害者相談員研修会への助成及び府省庁等へ講師派遣の調整を行う等、研修事業の充実を図る。(再掲) (2)身体障害者相談員全国連絡協議会理事会において、各協議会の事業活動や情報交換等を通して、相互の連携強化とともに身体障害者相談員活動の一層の充実に努める。 (3)改正障害者差別解消法の周知及び理解促進を図るとともに、「心のバリアフリー」の啓発に努める。加えて、障害理解の促進に係る民間企業の協力依頼についても加盟団体の協力のもと、積極的に取り組んでいく。 (4)身体障害者相談員全国連絡協議会会員に向け、「相談員会報」(年1回・8000部)を発行し、障害関連の法制度や日身連の研修活動等の情報提供を行い、相談活動の向上に努める。 (5)「障害者相談員のための活動ハンドブック」(令和3年3月発行)の販売促進に努めるとともに、障害者相談員活動の認知と周知に努める。 (6)「個人情報保護」(行政が収集管理)の開示にかかる問題については、引き続き、障害者相談員の活動が充実できる環境と、相談員活動の活性化をめざし、身体障害者相談員全国連絡協議会、正副会長会及び組織・施策等検討委員会と連携し、課題解消に努める。 6.障害及び障害者理解の啓発促進 (1)障害者権利条約の国別審査については、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により審査日が延期されている状況だが、引き続き、注視していくとともに、日本障害フォーラム(JDF)と連携して取り組む。 (2)改正障害者差別解消法に対する国民的理解が深まるよう、加盟団体、中央障害者社会参加推進センター、関係団体及び行政機関等と連携し活動に努める。 (3)東京オリパラを契機に高まった障害理解への関心をさらに地域へ拡散させ、民間企業等との協働作業等も視野に、障害理解の啓発促進に取り組む。 (4)障害者差別禁止条例が、全国の自治体で成立されるよう、引き続き、加盟団体等の要望を踏まえ取り組んでいく。 7.消費生活協同組合社会福祉活動等助成事業 「障害者の社会参加促進にむけた障害者団体の活動調査事業」 加盟団体を対象に、障害者の社会参加促進に係る事業を調査し、地域における障害者団体の活動の実態を検証し事業活動の一層の促進を図る。また、調査結果は、報告書として取りまとめ、加盟団体や行政機関等へ無償配布する。また、収集事例については、ホームページ等を通して情報発信し、情報共有とともに、事業活動を広く周知していく。 8.日身連の基盤強化等 最重要課題としている財政の安定化と組織体制強化に関しては、2つの検討委員会(財政検討委員会並びに組織・施策検討委員会)を中心に、社会福祉法人としての活動を軸に、日身連の一層の発展を目指し取り組んでいく。 (1)財政基盤の強化 財政検討委員会を中心に、自主財源確保のため開始した協賛広告(機関紙『日身連』掲載)の目標枠数の達成にむけ努力するとともに、財政基盤の安定化を図るために、引き続き、検討を行っていく。 (2)組織及び政策体制の強化 関係府省庁における障害者施策や環境整備等の検討すべき事項については、地域の実態や課題等を踏まえ、組織・施策検討委員会を中心に協議の場を作り、適切に対応していくための体制強化を図る。また、組織強化に向け、日身連と加盟団体間の情報共有や意見交換の場の提供に努める。 (3)新型コロナウイルス感染対策に関する運営等の対策 評議員会、理事会、正副会長会及び検討委員会等の開催については、新型コロナウイルス感染予防を第一に、原則、オンラインでの開催とする。また、オンライン開催において、出席者の通信環境等に不都合が生じないよう、事前の対策を行い、円滑な運営に努める。 9.ホームページ及び機関紙の充実 機関紙『日身連』(毎月7,500部発行)を通し、日身連の活動状況の発信にとどまらず、国等の障害関連の動き、新型コロナウイルス感染症関連等の情報について、遅滞なく提供していく。加盟団体の事業活動(障害者週間の行事やその他関連記事)の情報発信や日身連の事業活動を広く発信していく。購読者の期待に応えるよう、紙面の充実を図り、新規読者や賛助会員の獲得につなげる。 また、ホームページにおいては、情報発信にとどまらず、加盟団体間相互の情報収集が図れるよう、引き続き、加盟団体専用サイトの充実に努める。 10.その他の関連事業 (1)日本障害フォーラム(JDF・代表:阿部一彦)関連事業 JDFの中核的存在として活動に連携協力し、国内外の障害者関連の諸課題に取り組んでいく。また、延期されている障害者権利条約の国別審査については、情報を収集するとともに、対応にむけた活動の連携に努める。 (2)全国社会福祉協議会障害関係団体連絡協議会(会長:阿部一彦)関連事業 障害分野に関するさまざまな課題や検討事項等について、障害関係団体連絡協議会の構成メンバーと連携し取り組み、協議会の取りまとめ役として協議会発展のために努める。