今後の障害者雇用施策の充実強化について (労働政策審議会障害者雇用分科会意見書)(労働政策審議会障害者雇用分科会意見書) 目次 第1はじめに 第2雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化 第3障害者雇用と障害者福祉の連携の促進 1アセスメントの機能強化 2障害者就労を支える人材の育成・確保 3地域の就労支援機関の役割分担 第4多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進 1障害者雇用率制度における障害者の範囲 (1)週所定労働時間 10時間以上 20時間未満の障害者の取扱い (2)障害者手帳を所持していない精神障害者、発達障害者及び難病患者の取扱い (3)就労継続支援A型事業所の利用者の取扱い 2精神障害者に対する障害者雇用率等の算定 (1)精神障害者の算定特例の延長 (2)精神障害者に係る重度の取扱い 3長期継続雇用の評価 第5障害者雇用の質の向上の推進 1障害者雇用調整金、報奨金による対応 2障害者雇用納付金の適用範囲の拡大 3障害者雇用を推進する事業主の取組に対する支援 第6その他の諸課題 1在宅就業障害者支援制度の活用促進 2有限責任事業組合の算定特例の全国展開 3除外率の引下げによる障害者雇用の促進 4その他 第7おわりに 1 ページ終わり 今後の障害者雇用施策の充実強化について (労働政策審議会障害者雇用分科会意見書) 化について (労働政策審議会障害者雇用分科会意見書) 第1はじめに ○近年、障害者の就労意欲が高まるとともに、積極的に障害者雇用に取り組む民間企業が増加するなど、障害者雇用は着実に進展している。 ○他方で、障害者雇用率(以下「雇用率」という。)の達成が目的となり質の確保が不十分となっている側面がある、一般就労の可能性がある障害者を適切な支援につなげるためには雇用施策と福祉施策の連携強化を図る必要がある、これまで就業が想定されにくかった重度障害者や多様な障害者の就業ニーズが高まっている等の課題が生じている。 ○特に、雇用施策と福祉施策の連携強化については、令和2年 11月から約7カ月にわたって開催された「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」によって幅広く議論され、その議論の成果が令和3年6月に「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会報告書」(以下「検討会報告書」という。)としてとりまとめられたところである。加えて、障害福祉施策における障害者の就労支援に関する制度等の検討についても、社会保障審議会障害者部会における議論の状況が当分科会で共有されたところである。 ○また、平成 31年2月 13日付け労働政策審議会障害者雇用分科会意見書(以下「分科会意見書」という。)を踏まえた障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第 36号。以下「令和元年改正法」という。)では、国及び地方公共団体における障害者雇用の促進に係る措置が改正の中心となっており、分科会意見書において、大企業及び就労継続支援A型事業所(以下「A型」という。)に対する障害者雇用調整金(以下「調整金」という。)の取扱い、除外率制度に関する対応等、民間部門の課題について引き続き検討することが求められている。 ○このような状況や令和元年改正法の施行後3年を目途とした検討規定を踏まえ、検討会報告書や分科会意見書において引き続き検討すべきとされた事項をはじめ、障害者雇用施策全般について議論を進めてきたところであり、以下のとおり、今後の障害者雇用施策の充実強化について結論を得たものである。 第2雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化 ○障害者雇用については、例えば、民間企業の実雇用率は 10年連続で、実雇用者数は 18年連続で過去最高を更新するなど、着実に進展しているが、他方で、障害者が能力を発揮して活躍することよりも、雇用率の達成に向け障害者雇用の数の確保を優先するような動 2 ページ終わり きもみられる。今後は、障害者雇用の数に加えて、障害者が個々に持てる能力を発揮して活き活きと活躍し、その雇用の安定に繋がるよう、障害者本人、事業主、関係機関が協力して障害者雇用の質を向上させることが求められるみられる。今後は、障害者雇用の数に加えて、障害者が個々に持てる能力を発揮して活き活きと活躍し、その雇用の安定に繋がるよう、障害者本人、事業主、関係機関が協力して障害者雇用の質を向上させることが求められる。 ○障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和 35年法律第 123号。以下「法」という。)において、事業主は、雇用する障害者に対して、その有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場の提供や適正な雇用管理に努めなければならないとされている。 ○法に掲げられたこうした責務を事業主が真摯に果たしていくためには、事業主に対して、障害者が持てる能力を十分に発揮できる雇用の場を提供するとともに、雇用後もその活躍を促進するため、キャリア形成の支援を含めて、適正な雇用管理をより一層積極的に行うことを求めることが適当である。 ○キャリア形成の支援に際しては、事業主が中途障害者を含め、資格取得の促進や職業訓練、研修機会を設ける等障害者の能力開発を行うことが重要であり、こうした取組は障害者が働き続ける上でモチベーションやエンゲージメントの向上に資するという意見があった。あわせて、事業主は合理的配慮の提供はもとより、持てる能力を発揮できるよう障害特性に応じた業務の選定や再構築を行うとともに、これについて採用時のみならず、雇用継続期間中を通じて適宜見直すことが望ましいという意見があった。 ○また、行政による、事業主に対する支援として、ハローワークにおいてはアセスメントやマッチング支援を強化することが適当である。 ○加えて、障害者雇用の質を高める観点からは、障害者の定着支援を図ることが重要であり、助成金による支援の充実を含め、職場適応援助者(以下「ジョブコーチ」という。)の活用を促進することが適当である。この点、障害種別に対応できるジョブコーチの育成が重要という意見があった。 ○なお、雇用の質の向上を図っていくに当たっては、将来的にはこれに向けた事業主の取組を評価する手法を検討することが考えられるという意見があった。 第3障害者雇用と障害者福祉の連携の促進 ○検討会報告書においては、雇用施策と福祉施策の連携強化に関する対応策の具体的な検討の方向性として、雇用・福祉それぞれのサービス体系におけるアセスメントの仕組みの構築・機能強化、障害者就労を支える人材の育成・確保、障害者の就労支援体系の整理等の必要性が指摘されている。これを踏まえ、障害者雇用と障害者福祉の連携を促進するため、以下のとおり措置することが必要である。 3 ページ終わり 1アセスメントの機能強アセスメントの機能強化 ○アセスメントについては、検討会報告書において、障害者の就労能力や一般就労の可能性が十分に把握されておらず、適切なサービス等に繋げられていない場合もあるのではないかといった指摘がされており、ハローワークについては特にアセスメントの機能強化の必要性が指摘されている。 ○これらを踏まえ、当分科会において議論を行い、以下の対応が適当であるとされた。 ・ハローワークにおいては現在でも一定のアセスメントが行われているものの、実施の必要性の判断等が個々の担当者に任せられている側面があることから、アセスメントの必要性を判断する考え方や実施方法、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターとの連携が必要な場合の考え方等について改めて整理する。 ・ハローワークが職業指導や職業紹介を行う場合や、障害福祉サービスも含めた関係機関への誘導等の支援を行う場合に、アセスメントの実施を強化する。また、就職後も必要に応じて適時アセスメントを実施し、定着やキャリアアップに向けた障害者と事業主双方への支援に活用する。 ・ハローワークは、就労アセスメントの手法を活用した新たな障害福祉サービス(就労選択支援(仮称))を利用した上で、一般就労を希望する障害者については、その結果も踏まえて支援を行う。 ・地域障害者職業センターにおける知見が、就労に係る障害福祉サービスにおいても必要に応じて活かされるようにするなど、十分に雇用と福祉の連携を図る。 ○また、ハローワークにおけるアセスメントの機能強化に当たっては、ハローワーク職員の専門性の向上が重要であり、人材育成を図っていくことが適当である。 ○加えて、障害者の企業等での就労状況に係るアセスメント結果について、必要に応じて、ハローワークにフィードバックしてもらうことで、ハローワークでの障害者と企業等とのマッチングの精度を高めることが適当である。 ※「アセスメント」:本人の就労能力や適性の客観的な評価を行うとともに、本人と協同して就労に関するニーズ、強みや職業上の課題を明らかにし、ニーズを実現するために必要な支援や配慮を整理すること 2障害者就労を支える人材の育成・確保 ○障害者就労を支える人材の育成・確保については、検討会報告書において、福祉と雇用の切れ目のない支援を可能とするために、障害者本人と企業双方に対して必要な支援ができる専門人材の育成・確保を目指し、雇用・福祉の分野横断的な基礎的な知識・スキルを付与する研修(以下「基礎的研修」という。)を確立することが必要であるとの方向性が示された上で、令和3年9月から同年 12月まで開催された「雇用と福祉の分野横断的な 4 ページ終わり 基礎的知識・スキルを付与する研修の構築に関する作業部会」で、具体的な検討がなされたところである。 ○これらを踏まえ、当分科会において議論を行い、以下の対応が適当であるとされた。 ・基礎的研修は、雇用・福祉分野の横断的な知識等について一定レベルの習得を目指すこととし、研修受講者の仕上がり像は、障害者本人や企業に対して基本的な支援を開始できるレベルの人材とする。 ・上述の目的を踏まえ、基礎的研修の実施期間は3日以内(概ね 900分以内)とし、一部にオンラインの活用も可能とする。 ・基礎的研修の受講を必須とすべき者は、当面、就労移行支援事業所の就労支援員、就労定着支援事業の就労定着支援員、障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者・生活支援担当者の4者とする。 ・基礎的研修は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「高障求機構」という。)が実施する。その上で、民間機関も活用していくこととするが、質の確保の観点から、まずは、厚生労働大臣指定の職場適応援助者養成研修実施機関とする。 ○また、基礎的研修については、効果検証をしっかり行った上で効率的な運用に努めるとともに、研修内容を適時適切に見直していくことが適当である。 ○なお、基礎的研修については、受講を必須とすべき者だけでなく、A型及び就労継続支援B型事業所の支援員や、就労アセスメントの手法を活用した新たな障害福祉サービス(就労選択支援(仮称)の担当者等の受講機会が確保されることが望ましいという意見があった。加えて、受講を必須とする者については基礎的研修の運用状況等を踏まえ、その拡大の可能性についても検討することが望ましいという意見があった。 3地域の就労支援機関の役割分担 ○地域の就労支援機関の役割分担については、検討会報告書において、 ・地域障害者職業センターは、地域の支援力向上を図るため、各支援機関に対する職業リハビリテーションに関する助言・援助等に積極的に取り組んでいくことが必要。 ・障害者就業・生活支援センターは基幹型の機能を果たす機関として、地域の支援ネットワークの強化、充実を図ることが必要。 との方向性が示されたところである。 ○これらを踏まえ、当分科会において議論を行い、以下の対応が適当であるとされた。 ・障害者職業総合センターは、職業リハビリテーションの中核機関としての機能を生かし、地域障害者職業センターと連携して、基礎的研修を実施するとともに、就労支援機関等に対する助言・援助を強化する。 ・地域障害者職業センターは、基礎的研修を実施するとともに、地域の就労支援機関等 5 ページ終わり に対して、個別に計画的・体系的な人材育成を提案するなど、これまで以上に地域において障害者の職業生活における自立を支援する人材の育成に努め、地域の就労支援の基盤整備を図る。 ・障害者就業・生活支援センターは、地域の実情に応じて、地域の支援機関に対するスーパーバイズ(個別の支援事例に対する専門的見地からの助言及びそれを通じた支援の質の向上に係る援助)や困難事例に対応するという基幹型の機能を果たす機関として位置付け直し、地域障害者職業センターとの連携を強化する。 第4多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進 ○近年、精神障害者である労働者が著しく増加するとともに、これまで就業が想定されにくかった重度障害者などの就業ニーズが高まっており、多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方を推進するため、以下のとおり措置する必要がある。 1障害者雇用率制度における障害者の範囲 (1)週所定労働時間 10時間以上 20時間未満の障害者の取扱い ○現行の障害者雇用率制度(以下「雇用率制度」という。)や障害者雇用納付金制度(以下「納付金制度」という。)においては、週所定労働時間(以下「週」という。)20時間未満での雇用は対象とされていない。これは、通常の労働者の週の半分に満たない時間での労働は、それにより職業生活において自立しているとは言えないという考え方に基づくものである。 ○他方で、週 20時間未満の労働者については、いずれの障害種別でも一定数存在しており、特に精神障害者においてその割合が増加傾向にある。また、週 20時間未満での雇用を希望する新規求職者についても、いずれの障害種別でも一定数存在しており、特に近年雇用者数の伸びが著しい精神障害者で多くなっている。加えて、症状の悪化等による一時不調等により障害者が週 20時間以上働けなくなったとしても、障害者本人の希望等を踏まえ、雇用を継続していくことが望ましい。 ○こうしたことから、週 20時間未満での雇用を希望する障害者や、週 20時間以上での雇用が困難である障害者について、その雇用機会を確保することが重要であり、特にニーズが多い精神障害者とその雇用に多くの負担を伴うことから従来から雇用率制度の適用上配慮している重度身体障害者及び重度知的障害者について、雇用率制度において特例を設けることが適当である。 ○具体的には、週 10時間以上 20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者は、その障害によって特に短い労働時間以外での労働が困難な状態にあると認められるため、特例的な取扱いとして、その雇用を実雇用率の算定対象に加えることが適当である。 6 ページ終わり なお、A型の利用者は、週 20時間未満であるか否かにかかわらず、利用者の希望に応じた労働時間や労働日数等での就労が可能となるよう支援を行うものであり、特例的な実雇用率算定により週 20時間未満の障害者の雇用の機会を確保する必要性が高くないため、本取扱いを適用しないことが適当である。 ○算定に当たっては、1人をもって 0.5カウントすることとし、また、週 20時間以上の雇用への移行に要する期間には個人差があるとともに、障害特性から、中長期にわたり週 20時間以上の雇用に移行できない者も一定程度存在するため、本取扱いは一律に適用期限を区切ることはしないことが適当である。 ○ただし、職業的自立を促進する観点から、雇用義務の対象は週 20時間以上の障害者としているが、今般、この取扱いは変更せず、新たに実雇用率の算定の対象として加える週 20時間未満の障害者は雇用義務の対象としない、すなわち、雇用率の算定式には週 20時間未満の障害者を含めないことが適当である。 ○そのため、今般の特例措置の趣旨や、あくまで職業的自立を促進する観点からは週 20時間以上の雇用の実現を目指すことが望ましいこと等について、障害者本人、事業主、関係機関に対して周知を図り、それぞれがその方向で努力することが適当である。さらに、安易に週 20時間未満の雇用が増えることのないように、障害者本人が希望していることを前提として、ハローワークのアセスメントや医師等専門家の意見も踏まえた取扱いとすることが適当である。 ○また、週 20時間未満の雇用に留め置かれないよう、障害者本人が労働時間の延長を希望する場合、事業主に対しその有する能力に応じた労働時間の延長について努力義務を課すことが適当である。 さらに、ハローワークが障害者本人からの相談や定着支援等を通じて労働時間の延長に向けて対応が必要なケースを把握した場合には、事業所訪問を通じて職場環境・就業状況等を確認し、必要に応じて関係機関と連携しつつ助言・支援や雇用管理指導を行うことが適当である。 ○なお、週 20時間以上の就業が困難な者等を障害者雇用納付金(以下「納付金」という)、調整金の算定の対象とすることにより、当該者に対する就業機会の拡大を直接的に図ることが可能となることから、特例給付金は廃止することが適当である。 (2)障害者手帳を所持していない精神障害者、発達障害者及び難病患者の取扱い ○雇用義務制度は、雇用の場を確保することが極めて困難な者に対し、社会連帯の理念の下で、全ての事業主に雇用義務を課すものである。したがって、事業主が社会的な責任を果たすための前提として、①事業主がその対象者を雇用できる一定の環境が整っているこ 7 ページ終わり と、②対象範囲は明確であり、公正、一律性が担保されることが必要であり、現在、雇用率制度における対象障害者の範囲は身体障害者、知的障害者、精神障害者とし、その取扱いに当たっては、原則、障害者手帳(以下「手帳」という。)の所持者に限っている必要であり、現在、雇用率制度における対象障害者の範囲は身体障害者、知的障害者、精神障害者とし、その取扱いに当たっては、原則、障害者手帳(以下「手帳」という。)の所持者に限っている。 ○手帳を所持しない精神障害者について、当分科会では、就労促進等の観点から自立支援医療受給者証の所持者等は雇用率制度の対象にすべきという意見がある一方で、自立支援医療受給者証はその目的が医療費の自己負担額を軽減することであり手帳と同一に取り扱うべきではない、自立支援医療受給者証の提出を事業主に提出することに抵抗を感じる障害者もいるのではないかという意見があった。また、自立支援医療受給者証所持者のうち「重度かつ継続」を雇用率の対象にしてはどうかという意見や、個別の就労困難性を判断することが重要という意見等、様々な意見があった。 ○発達障害者については、比較的早期に診断を受け、手帳を取得する割合も高く、就職に当たっても可能な限り手帳の取得を促す支援が重要という意見があった。他方で、それまでに診断等に繋がらず、障害者本人の障害認識が無いまま就職後に職場での具体的な状況から困難が生じ、障害を理解・認知する事例もある。こうした場合であっても、障害者本人の特性により就労場面において生じる課題は個別性が高い一方で、適切なマッチング、雇用管理等により、活躍できる事例もみられる。 ○難病患者については、疲れやすさ、倦怠感など全身的な体調の崩れやすさといった一定の共通する点もある一方で、その症状の有無や程度は、疾病により個別性が高く、さらには治療の状況により個人差も大きい。他方で、適切なマッチング、雇用管理等により、活躍できる事例もみられる。 ○こうしたことから、現状において、手帳を所持していない発達障害者及び難病患者について、個人の状況を踏まえることなく、一律に就労困難性があると認めることは難しい。 ○これらを踏まえ、手帳を所持していない精神障害者、発達障害者及び難病患者について、雇用率制度における対象障害者の範囲に含めることをただちに行うのではなく、手帳を所持していない者に係る就労の困難性の判断の在り方にかかわる調査・研究等を進め、それらの結果等も参考に、引き続きその取扱いを検討することが適当である。 ○なお、精神障害者保健福祉手帳は有効期限があることから、手帳更新ができなかった場合であっても就業上の困難性が継続しているケースもあり、その場合に一定の期間については引き続き雇用率制度の対象とすることについて検討課題とすることが望ましいという意見があった。 ○また、個人の特性に合わせた配慮の下活躍できるよう、ハローワークにおける専門的支 8 ページ終わり 援等、就労支援の強化を図ることが適当である。就労支援の強化を図ることが適当である。 (3)就労継続支援A型事業所の利用者の取扱い ○A型の利用者については、当該事業が障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成 17年法律第 123号)に基づく障害福祉サービスに位置付けられている一方で、雇用労働者であるため、雇用率制度の対象になっている。 ○当分科会では、障害福祉サービスに位置付けられており、障害福祉サービス等報酬が支払われているA型については、事業主が社会連帯の理念に基づき、障害者に雇用の場を提供する共同の責務を有していることを前提とした雇用率制度上、一般企業と同列に扱うべきではなく、その利用者は雇用率・納付金・調整金等の対象から外すべきという意見が多数あった。他方で、こうした見直しは、A型の利用者に与える影響を考慮して慎重に議論するべきという意見や加齢により企業での就業が困難になった者の受け皿として社会的貢献度は大きいことも考慮すべきであるという意見もあった。 ○また、A型については、雇用・福祉施策の連携強化を進めて行く中において、その在り方や役割について、利用者や支援内容の実態等を踏まえて整理を進めることとしており、現在、その実態把握を行っているところである。 ○こうしたことから、雇用率制度におけるA型の利用者の扱いについては、実態把握に基づきA型が障害福祉制度においてどのように整理されるかも踏まえた上で、雇用率制度・納付金制度からの除外の可能性も視野に入れ、一方で様々な影響も考慮しつつ引き続き検討していくことが適当である。この点、A型の実態把握等の状況は当分科会においても定期的に共有されることが望ましいという意見や、見直しに向けて検討していくべきという意見があった。 2精神障害者に対する障害者雇用率等の算定 (1)精神障害者の算定特例の延長 ○平成 30年4月から精神障害者の雇用が義務化されるとともに、雇用率が引き上げられたことに伴い、精神障害者の職場定着を進める観点から、精神障害者である短時間労働者の実雇用率の算定に関して、令和4年度末まで短時間労働者を1カウントとする特例措置を設けている。 ○精神障害者の職場定着率は週 20時間以上 30時間未満勤務の場合が相対的に高くなっており、その職場定着を進める観点から、精神障害者である短時間労働者を1カウントとする特例を継続することが適当である。 ○また、精神障害者の個別性の高さを踏まえると、週 30時間以上の雇用への移行に要す 9 ページ終わり る期間には個人差があるとともに、障害特性から、中長期にわたり週 30時間以上の雇用に移行できない者も一定程度存在するため、特例を継続するに当たっては、一律に適用期間を区切ることはせず、新規雇入れ又は手帳取得から3年間という要件を外すことが適当である。 ○ただし、週 30時間以上の勤務を希望する障害者が短時間勤務のまま留め置かれることがないよう、ハローワークが障害者本人からの相談や定着支援等を通じて労働時間の延長に向けて対応が必要なケースを把握した場合には、ハローワークが事業所訪問を通じて職場環境・就業状況等を確認し、必要に応じて関係機関と連携しつつ助言・支援や雇用管理指導を行うことが適当である。 ○なお、特例の期間については、当分の間、特例を継続することとし、今後、(2)のとおり、精神障害者の重度に係る検討について一定の整理がされた際に改めて検討することが適当である。 (2)精神障害者に係る重度の取扱い ○精神障害者は身体・知的障害者と異なり「重度」といった取扱いがない。 ○精神障害者の就労困難性と精神障害者保健福祉手帳の等級は必ずしも関係するものではないという意見等様々な意見があることを踏まえると、精神障害者の「重度」という取扱いについては、ただちにこれを設けるのではなく、調査・研究等を進め、それらの結果等も参考に、引き続き検討することが適当である。 3長期継続雇用の評価 ○社会全体が高齢化していく中で、中高年齢者等、長期継続雇用されている障害者のキャリア形成を支援し、その活躍を推進していくことが重要である。 ○当分科会では、中高年齢者等、長期継続雇用に対する事業主の取組について雇用率制度における評価を求める意見がある一方で、加齢による影響は職種・職場等の違いを含め個人で異なるものであり、事業主が適切な配慮をすれば、年齢に関係なく活躍できる事例も多くみられることから、年齢や勤続年数で一律に判断することは適当ではないという意見があった。また、障害者権利条約を批准している現在において、ダブルカウントという措置を継続すべきかどうかについて議論が必要という意見もあった。 ○これらを踏まえ、中高年齢者等、長期継続雇用されている障害者について、一律に就労困難性が高いとみなして雇用率制度で評価することは適当ではない。この点、個々の企業による長期継続雇用に向けた取組を客観的に評価し、雇用率制度上評価する方策について引き続き検討することが望ましいという意見があった。 10 ページ終わり ○他方で、中高年齢者であって継続して雇用されている障害者の活躍や雇用の継続のため、個々の障害者の状況に応じて事業主が実施する取組を支援することが適当である他方で、中高年齢者であって継続して雇用されている障害者の活躍や雇用の継続のため、個々の障害者の状況に応じて事業主が実施する取組を支援することが適当である。 ○また、企業からは中高年齢者である障害者を継続して雇用する中で生じる課題について相談できる窓口を求める声もあることから、障害者就業・生活支援センターについて、関係機関との連携を強化し、地域の実情や個々の事業主の状況に応じて中高年齢者である障害者を継続して雇用するための課題に関する相談機能を強化することが適当である。 第5障害者雇用の質の向上の推進 ○納付金制度は、障害者の雇用に伴う事業主間の経済的負担を調整するとともに、障害者の雇用の促進・継続を図るために設けられている。この目的のためには、納付金制度の財政の安定的運営を図り、事業主が障害者雇用に積極的に取り組むことができるよう、その具体的取組を支援することが重要である。 ○こうした中、民間企業における障害者雇用が大きく進展した結果、今後の納付金制度の財政の見通しが厳しくなっている。さらに、現状、障害者雇用の数を評価する調整金や報奨金の支出が大半を占め、障害者雇用の質の向上に向けた事業主の取組を評価する納付金助成金(以下「助成金」という。)の支出が少なくなっているなど、事業主に対する助成・援助が不十分になっている。 ○今後、障害者雇用について、その質の向上に重点を置いて推進していくためには、納付金制度の財政の安定的な運営の上に立って、障害者を雇い入れる事業主の具体的な取組に対して支援を充実させるなど、限られた財源を効果的に運用することが重要であり、以下のとおり措置する必要がある。 1障害者雇用調整金、報奨金による対応 ○限られた財源を事業主への支援に充てていくため、納付金関係業務を行う高障求機構の業務経費について事務の効率化等により削減するとともに、助成金について活用状況等を踏まえ見直すなど支出の効率化を図ることを前提に、調整金・報奨金について、一定の場合の減額等を行うことが適当である。 ○減額等の対応に当たっては、人数基準や減額率等について様々意見があったところであるが、調整金について、その支給状況や一定の場合の減額等により見込まれる支出削減の効果等を踏まえ、支給対象人数が 10人を超える場合には、当該超過人数分に対しては支給額を 50%にすることが適当である。 ○報奨金については、調整金受給企業と報奨金受給企業との実態の違いや、報奨金は障害 11 ページ終わり 者雇用を奨励等することを目的に納付金の納付義務のない事業主に対して支給するものであることを踏まえ、支援対象人数納付金の納付義務のない事業主に対して支給するものであることを踏まえ、支援対象人数が 35人を超える場合には、当該超過人数分に対しては支給しないことが適当である。 ○今回の措置で調整金が減額される企業においても調整金を障害者の定着支援や訓練等に活用している現状があるという意見や、これまで障害者雇用に積極的に取り組んできた企業ほど調整金が減額される対象になるため、減額後の調整金の支給額を 50%よりも高く設定するなど減額の要件設定は慎重に行うべきという意見もあった。このため、上記の措置による調整金等の支出削減の効果については、こうした個々の事業主の取組状況やニーズ等を踏まえた上で、支援策の強化に積極的に充てていくことが適当であり、これらを調整金が減額等される企業に対するヒアリング等を通じて把握する必要がある。 ○また、調整金・報奨金の減額等に当たっては、対象となる事業主が余裕を持って対応できるよう積極的に周知を行うとともに、十分な準備期間を設けることが適当である。 ○なお、中長期的な課題として、財源が枯渇する場合であっても、障害者に対する支援が継続できるよう、緊急的な公的資金の投入についても検討することが望ましいという意見や将来的には調整金等は廃止し、企業を支援する助成等に注力することが適当という意見があった。 2障害者雇用納付金の適用範囲の拡大 ○納付金制度については、原則として、雇用義務のかかる全ての事業主に適用されるものであるが、制度創設時に、中小企業の負担能力等に対する配慮等から、当分の間、常用労働者 300人超の事業主に適用対象が限定され、現在は、常用労働者 100人超の事業主にまで対象が拡大されている。 ○この適用範囲の拡大の検討に当たって、常用労働者 100人以下の事業主については、ノウハウ不足等により、障害者の雇用数が0人であるところが多く、雇用率未達成企業が半数以上となっている。また、コロナ禍での経営環境の悪化、雇用保険料率の引上げ、健康保険・厚生年金保険の適用拡大等、中小企業を取り巻く雇用環境等は厳しいものとなっている。そのため、常用労働者 100人以下の事業主に対する納付金の適用範囲の拡大については、これらの事業主における障害者雇用が進展した上で、実施することが適当である。この点、100人以下の企業における法定雇用率達成企業割合の改善状況等を踏まえるなど、一定の雇用環境が整った場合に検討すべきという意見があった。 ○そのため、まずは、常用労働者 100人以下の事業主における障害者雇用が進むよう、これらの事業主、特に障害者雇用ゼロ企業が抱えるノウハウ不足の課題に対して支援することが適当である。 12 ページ終わり ○具体的には、ハローワークにおいて、大企業に比べて障害者雇用の取組が遅れている中小企業に対し、企業ごとの属性やニーズを踏まえたチーム支援を積極的に実施することが適当である具体的には、ハローワークにおいて、大企業に比べて障害者雇用の取組が遅れている中小企業に対し、企業ごとの属性やニーズを踏まえたチーム支援を積極的に実施することが適当である。 ○このようにハローワークが個々の中小企業をきめ細かく支援することに加えて、特に障害者の雇用を進めることが困難な障害者雇用ゼロ企業を中心に、障害者雇用に関するコンサルティングを行う事業者等から、雇入れから雇用管理まで一体的な伴走型の相談支援を受けることで、障害者雇用の取組を促進する事業主に対して支援することが適当である。この場合には、特に地域の中小企業に対する身近な支援者である訪問型のジョブコーチが配置されている社会福祉法人やNPOの活用が適当という意見や、相談支援の質を確保することが必要という意見があった。 3障害者雇用を推進する事業主の取組に対する支援 ○調整金、報奨金の一定の場合の減額措置等による納付金制度の財政の安定的な運営の上に立って、障害者雇用の質を高める観点から、各事業主の個々の取組を支援できるように、事業主のニーズを踏まえる形で助成金を充実させることが適当である。 ○具体的には、中高年齢者の障害者の雇用継続のため事業主が実施する取組に対する助成(第4の3)や、障害者雇用に関するコンサルティングを行う事業者等から相談支援を受けることで障害者雇用を促進する事業主に対する助成(第5の2)を行うことが適当である。 ○加えて、既存の助成金についても、事業主のニーズのみならず多様な障害特性の実態や、障害者の職場定着を図るという観点等も踏まえて、充実させることが適当である。 第6その他の諸課題 1在宅就業障害者支援制度の活用促進 ○通勤等に困難を抱える障害者の就労機会の選択の幅を拡げるとともに、そうした障害者の雇用への円滑な移行を進めていくことが重要である。 ○こうした観点から、在宅就業障害者支援制度の更なる活用を促進する必要があるが、そのためには、当該制度において重要な役割を果たしている在宅就業支援団体を増やしていくことが重要である。 ○したがって、在宅就業支援団体の実態や本制度の運用状況等を踏まえ、在宅就業支援団体として一定規模の業務を継続的に受注でき、また、在宅就業障害者に対する支援等その業務が適切に実施できる範囲で、在宅就業支援団体の登録要件を緩和するとともに、登録 13 ページ終わり 申請の手続を簡素化し、在宅就業支援団体の新規登録の促進を図ることが適当であるし、在宅就業支援団体の新規登録の促進を図ることが適当である。 ○具体的には、在宅就業支援団体の登録のために必要な「在宅就業障害者の人数」について、10人としている要件を5人に引き下げるとともに、「在宅就業支援団体としての業務を実施する者の人数」について、従事経験者を2名以上配置する要件を1名に引き下げることが適当である。あわせて、管理者の要件について専任以外でも認めることが適当である。 ○また、在宅就業支援団体の登録申請に必要な提出書類を一部簡素化し、登録申請に当たっての負担軽減を図ることが適当である。 ○加えて、在宅就業障害者を積極的に雇用へ移行させることが重要であり、その円滑な移行が図られるよう、各労働局・ハローワークにおいて、在宅就業支援団体の支援を受けている障害者の雇用への移行ニーズを適時に把握した上で、そのニーズを踏まえたアセスメント、求人とのマッチングなど適切な職業指導を実施することが適当である。 ○コロナ禍において特にそのニーズが高まっているテレワークについては、環境整備等必要な支援策を積極的に進めていくことが適当である。なお、障害特性にかかわらず、全ての障害者がテレワーク等のICTを活用した働き方にアクセスできるよう環境整備を行うとともに、事業主は合理的配慮の提供はもとより、障害者が在宅で働くことにより社内で孤立することがないようにコミュニケーションの促進に留意するなど、障害者がテレワークをしやすいように適切な雇用管理を行うことが望ましいという意見があった。 2有限責任事業組合の算定特例の全国展開 ○個々の中小企業の取組のみでは、障害者雇用を進めることに困難がある場合、複数の中小企業が共同で雇用機会を確保することができる事業協同組合等算定特例(以下「算定特例」という。)は有効な対応策となり得る。そのため、算定特例をより効果的に活用する必要がある。 ○この点、現在、有限責任事業組合(以下「LLP」という。)は、国家戦略特区においてのみ算定特例の対象とされているが、LLPには、異業種の企業の参画がより期待できる、行政の許認可等が不要で設立手続きが簡便であるといった特徴があり、これを活用して中小企業が障害者雇用を進めることが期待される。 ○そのため、現在、国家戦略特区内においてのみ算定特例の対象とされているLLPについて、全国においてもその対象とすることが適当である。なお、LLPを活用した算定特例の事例が現時点では一例のみであり、当該一例の評価をもって全国展開を図ることについて慎重に検討すべきという意見があった。 14 ページ終わり ○また、算定特例の活用を促進するためには、LLPを活用した算定特例の全国拡大も含め、算定特例について、厚生労働省ホームページや都道府県労働局を通じて、改めて周知徹底を図るとともに、算定特例の認定要件である「営業上の関係」の範囲を拡大し、算定特例をより活用し易くすることが適当である。この点、活用促進のためには、今後も、引き続き要件緩和について検討することが望ましく、また、算定特例を受けている者に対して、官公需における発注が優先的に行われることも重要であるという意見があったまた、算定特例の活用を促進するためには、LLPを活用した算定特例の全国拡大も含め、算定特例について、厚生労働省ホームページや都道府県労働局を通じて、改めて周知徹底を図るとともに、算定特例の認定要件である「営業上の関係」の範囲を拡大し、算定特例をより活用し易くすることが適当である。この点、活用促進のためには、今後も、引き続き要件緩和について検討することが望ましく、また、算定特例を受けている者に対して、官公需における発注が優先的に行われることも重要であるという意見があった。 ○他方で、LLPも含め、算定特例が活用される際には、都道府県労働局が雇用促進事業の具体的な内容を踏まえた上で、実施計画で掲げた目標の達成に向け、事業協同組合等及び特定事業主に対する助言等の支援を積極的に実施することが適当である。この点、特定事業主間での障害者雇用の取組に差が生じないよう、それぞれの特定事業主に対してきめ細かく支援していく必要があるという意見があった。 ○また、実施計画の終了時において組合全体で通算した実雇用率が雇用率を下回る場合や、実施計画に掲げた目標を達成できなかった場合には、次期の計画期間中に達成に向けた支援を積極的に実施し、それでも、組合全体で通算した実雇用率が雇用率を下回る状況が続いた場合は、算定特例の認定を取り消すことが適当である。 ○なお、LLPを活用した算定特例の全国拡大に当たっては、A型を特定事業主の対象に含めると、他の特定事業主での障害者雇用が進まなくても、A型における障害者雇用のみで、組合全体で通算した実雇用率が容易に嵩上げされてしまうため、A型は特定事業主の対象外とするべきという意見があった。 3除外率の引下げによる障害者雇用の促進 ○除外率制度については、平成 14年の法改正により廃止し、特例措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされた。これを踏まえ、平成 16年4月と平成 22年7月にそれぞれ一律に 10ポイントの引下げを実施した。 ○除外率制度については、廃止の方向で段階的に引き下げ、縮小することとされているが、 10年以上引下げが行われていないことは重大な問題である、廃止に向けてピッチを上げるべきという意見があったところであり、また、民間企業全体の実雇用率が上昇する中で、除外率設定業種の実雇用率についても着実な上昇がみられる。これらを踏まえ、除外率を一律に 10ポイント引き下げることが適当である。 ○この際、除外率設定業種がそれぞれ余裕を持って対応できるよう積極的に周知を行うとともに、十分な準備期間を設けることが適当である。この際、雇用率引上げの施行と除外率引下げの施行のタイミングが重ならないようにすることが必要という意見があった。 15 ページ終わり ○加えて、当該業種における障害者雇用の促進に向けた取組を支援することが適当である。この点、個々の事業主に対するヒアリング等により雇用の実態を把握した上で、障害者雇用の困難性が高い職種や、中小企業に配慮した効果的な支援を行うことが必要という意見があった加えて、当該業種における障害者雇用の促進に向けた取組を支援することが適当である。この点、個々の事業主に対するヒアリング等により雇用の実態を把握した上で、障害者雇用の困難性が高い職種や、中小企業に配慮した効果的な支援を行うことが必要という意見があった。 ○さらに、今般の引下げ後においても、除外率が既に廃止された制度であることを踏まえ、次々期以降の雇用率の設定のタイミングにおいて、除外率についても段階的に見直し、早期廃止に向けた取組を積極的に進めていくことが適当である。この際、10ポイント以上引き下げることを含めて検討することが必要という意見や、制度廃止から長期にわたり廃止に向けたロードマップが示されていないことには懸念があり、企業側の取組に課題があるのであれば、必要な支援を措置し早期の廃止実現を目指すべきという意見があった。また、見直しに当たっては、除外率が既に廃止された制度であることを重く受け止め、廃止に向けた引下げを前提とするものの、雇用率引上げの施行と除外率引下げの施行のタイミングが重ならないようにするほか、企業を取り巻く雇用環境や除外率設定業種の障害者雇用の状況等を踏まえ、現実的な対応の余地を残して検討することが必要という意見があった。 4その他 ○重度障害者等に対する職場や通勤等における支援(重度訪問介護サービス利用者等職場介助助成金、重度訪問介護サービス利用者等通勤援助助成金)について、引き続き、その実施状況を踏まえながら、より活用が図られるよう取組を進めることが適当である。また、当該助成金の対象とならない場合であっても、障害特性や症状によって通勤が困難である場合等、実態を把握して、こうした障害者に対する支援を充実させていくことが望ましいという意見があった。 ○障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度(もにす認定制度)については、企業にとってもダイバーシティに取り組んでいることをアピールできる有益なものであり、より一層、認定企業を増やし、障害者雇用に対する地域の社会的関心を高めるため、インセンティブを増やすとともに、周知を強化することが適当である。 第7おわりに ○障害者の雇用機会拡大と雇用継続は、長期的な視点で、持続可能な制度によって達成する必要があるが、そのためには、過度に複雑な制度や、労働者・事業主・行政それぞれの手続の負担が過大な制度を避けることが望ましいという意見があった。 ○引き続き検討すべきとされているものについては、調査・研究等、検討に当たって必要 16 ページ終わり となる前提が整った上で、可能な限り早期に検討し結論を得ることが必要という意見があった可能な限り早期に検討し結論を得ることが必要という意見があった。 ○今般、新たに措置することが適当とされた週 10時間以上 20時間未満の障害者に対する雇用率制度における特例、除外率の引下げや、長期継続雇用の推進等、個別の施策を進めるに当たり、雇用の質の向上という観点では合理的配慮の提供が重要であり、事業主は合理的配慮の提供について、その意義を改めて認識し対応することが適当である。 17 ページ終わり(報告書終わり)