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日身連小規模作業所移行調査の結果について 2003/03/14

  日身連ではこのほど、全国にある無認可小規模作業所がどれだけ通所授産施設に移行する意志があるかを把握するため、日身連小規模作業所全国連絡協議会に加盟する各都度府県・指定都市の小規模作業所を対象にしたアンケート調査を実施した。

 今回の調査では、対象作業所総数972に対し、全体の91.2%にあたる886か所から有効回答を得ることができた。

 この中で、「必ず移行したい、移行の準備をしている」と回答した作業所は224か所で全体の25.3%。逆に「移行したくない」と回答した作業所は176か所で19.9%に止まっている。

 一番多かった回答は「諸問題があるため、移行したいが不可能」で、全体の29.9%(256か所)とほぼ3割に達している。
また、「どちらともいえない」という回答は26.0%(230か所)と、全体の4分の1にあたる作業所が通所授産施設化への移行を決断するかどうか迷っている状況が伺える結果となった。

 移行を希望している作業所にその理由を尋ねた(複数回答可)ところ、「社会的信用を得ることができるから」が35.7%と最も多く、続いて「事業拡大のため」が31.1%、「補助金の増額のため」が27.4%、という結果が出ており、事業体としての基盤整備のために通所授産施設化を進めようという意向を読み取ることができる。

 一方、移行を希望しない作業所にもその理由を質問している(複数回答可)。通所授産施設化に伴う公的な諸規則の適用などで「柔軟性に富んだ経営ができなくなるから」と回答した作業所が最も多く36.5%。ついで「事務量の増加のため」が27.4%。「補助金額が少ないから」が19.6%、という結果となっている。

 「諸問題があるため、移行したいが不可能」と回答した作業所には「諸問題」の具体的な中身を尋ねた。その結果、通所授産施設化に際し必要条件とされる1000万円の「資本金」という回答が最も多く39.7%。「会計の煩雑さ」が21.7%、「人件費」が18.8%、と続いている。

 また、無認可の小規模作業所への国庫補助事業である在宅重度障害者通所援護事業が廃止され、国から年額110万円の補助金が打ち切られた場合の影響についても全対象作業所に質問した。その結果、過半数の659か所の作業所が「作業所の運営に支障をきたす」と回答しており、「作業所を廃止することになる」という厳しい回答を寄せた所も77か所にのぼった。


無認可作業所はかえって増加傾向か

 近年、国を挙げて行われてきた社会福祉基礎構造改革の一環として2000年に成立した社会福祉法。この法律の中で社会福祉法人格の取得要件が緩和され、小規模作業所の法定施設化(通所授産施設化)への道が開かれた。

 法律制定から2年以上が経過し、国は小規模作業所の通所授産施設化への移行を積極的に促す反面、「1国2制度というダブルスタンダードを作る方針は好ましくない」として、無認可の小規模作業所のための在宅重度障害者通所援護事業の縮小に着手している。
将来的にはこの事業は廃止する方針とも言われており、全国の作業所運営者の間では不安が広がっている。

 長引く景気低迷により、障害のある人々の雇用・就労環境は劣悪化の一途を辿っている。

 こうした社会情勢の影響をまともに受け、今日でも数多くの無認可小規模作業所が次々と生まれ、活発な活動を行い、障害者の地域生活を草の根から支えているという実態がある。

通所授産施設への移行が進んでも、小規模作業所数はむしろ増加している、という声もある。

 日身連では、全国の作業所で関心の高い通所授産施設への移行の問題については、作業所を対象にした研修会などを通じて情報提供・交換に努めている。また、資本金などの厳しい通所授産施設化要件の緩和などを国に要望するなど、通所授産施設の運営基盤整備にも力を注いでいる。

 一方で、無認可の小規模作業所への国庫補助制度についても、障害者の置かれている厳しい雇用・就労状況などを重く受け止め、関係団体と協力し、制度の存続および一層の充実を、国に対して強く働きかけていく方針だ。


日身連小規模作業所意向アンケート調査結果について(最終報告)

対 象:日身連小規模作業所全国連絡協議会に加盟している小規模作業所

期 間:平成15年1月
対象数:972ヶ所
有効回答数:886ヶ所

1.小規模通所授産施設移行について

 

箇所数

 

必ず移行したい、移行の準備をしている。

224

25.3%

 

移行したくない

176

19.9%

 

諸問題があるため、移行したいが不可能

256

29.9%

 

どちらともいえない

230

26.0%

 

合計

886

 100.0%

 

2.小規模通所授産に移行したい理由について(複数回答)

 

箇所数

補助金の増額

126

27.4%

社会的信用を得ることができる

164

35.7%

事業拡大のため

143

31.1%

その他

27

5.9%

合計

460

 100.0%









3.移行の時期について

 

箇所数

平成15年度

50

22.3%

平成16年度

60

26.8%

平成17年度

56

25.0%

未定

58

25.9%

合計

224

100.0%

4.移行にあたり、特別な活動とは(複数回答)

 

箇所数

検討委員会等の立上げ

111

36.0%

バザーの回数の増加

82

26.6%

事務作業の効率化

69

22.4%

その他

46

14.9%

合計

308

100.0%

5.移行したくない理由について(複数回答)

 

箇所数

柔軟性に富んだ経営ができない

104

36.5%

補助金等が少ない

56

19.6%

事務量の増加

78

27.4%

その他

47

16.5%

合計

285

100.0%

6.諸問題とは(複数回答)

 

箇所数

資本金

205

39.7%

人件費

97

18.8%

理事、評議員の選任

52

10.1%

会計の煩雑さ

112

21.7%

その他

50

9.7%

合計

516

100.0%

7.110万円が廃止された場合(複数回答)

 

箇所数

特に支障をきたさない

0.4%

人件費のカット

408

31.1%

地方自治体の補助金も減額

130

9.9%

作業所の運営に支障をきたす

659

50.2%

作業所の廃止

77

5.9%

その他

35

2.7%

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