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「対象拡大の議論、凍結を」
 ~介護保険制度有識者会議で日身連が見解表明
2007/02/05
  昨年末に開催される予定だった、厚生労働省老健局長、社会・援護局長、障害保健福祉部長の私的検討会「介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議」(座長=京極高宣国立社会保障・人口問題研究所所長)の第5回会合が2月5日、東京都内で開催され、日身連をはじめ中央関係の障害当事者団体からのヒアリングがおこなわれました。
 ヒアリングの主なテーマは、介護保険制度の被保険者・受給者の範囲(対象)を若年層・障害者に拡大するかどうかでした。日身連では、障害者自立支援法が施行されたばかりであること、全国各地の現場での混乱状況などを考慮し、対象拡大問題に関する検討を凍結することなどを求める見解を表明しています。
(有識者会議に提出した日身連としての「見解」を以下に掲載しておりますので、ご確認ください。) 




(資料)
                                  平成19年2月5日

       介護保険制度の被保険者・受給者範囲の拡大に関する見解

                    社会福祉法人日本身体障害者団体連合会
                       会長 小川 榮一

 介護保険制度を65歳未満の障害者の介護にも拡大するかどうかは、障害者当事者にとってきわめて重要な事柄であり、通常の状況下であれば、障害者の生活や自立支援にとってプラスになるかどうかという視点や制度のユニバーサル化の視点などから慎重な検討を加えた上で、その適否を判断することになる。

 しかしながら、現在の障害者施策を取り巻く状況は、昨年4月からの障害者自立支援法の施行に伴って、サービス利用時の利用者負担の増加や事業者収入の減少、その結果としてのサービス利用の差し控えや施設職員のパート化といった問題が生じ、全国各地の現場で多くの混乱が引き起こされたところである。
 幸い、これらの問題については、年末の補正予算及び平成19年度予算案の中で解決に向けた道筋が示され、一安心できる状況になったが、自治体等での具体的な運用に反映させる作業はこれからであり、障害者自立支援法が本来の目的に沿った効果がもたらされるようになるかどうかは、いまだ注視しなければならない段階である。
 更にさかのぼると、障害者施策においては、平成15年の支援費制度導入以降、毎年のように補助金の廃止や予算不足の問題が持ち上がり、そのたびごとに、障害者団体、行政、国会・地方議会等の各所での必死の取り組みが行われてきた経過があり、ようやく今回の障害者自立支援法の施行と補正予算等での手当てにより、一定の落ち着きを見せるきざしが見えたところである。

 こうした数年にも及ぶ障害者施策の断続的な制度見直しとそれに伴う現場の混乱が続いてきた中、ましてや障害者の所得保障が十分ではない上、本年10月、障害者自立支援法が施行され間もないこの時期に、介護保険制度の年齢拡大を議論することは、時期の適切さを欠くものであると考える。
 今は、障害者にとっては、障害者自立支援法が地域生活の支援や自立支援のためにどのように機能を発揮できるかを見守ることに力を注ぐべき時期であり、別の大問題まで議論を広げて現場の混乱を再来させることは避けねばならない。
 したがって、障害者自立支援法等が定着するまでの間は、介護保険の適用問題の検討は凍結すべきである。

 なお、補足であるが、将来的に介護保険の適用問題を検討する際には、今回の障害者自立支援法の施行過程においても明らかになったように、障害者施策のこれまでの経緯や障害者の生活状況等を含めた特性(特に、障害者に特有な介護必要度の判定、重度の障害者向けのサービス類型、低所得者が多いことを踏まえた利用者負担の設定など)に十分配慮すべきであり、介護保険制度の基準や水準をそのままの形であてはめることにこだわるのではなく、柔軟な姿勢で臨むべきであることを申し添える。
                                                                                              以上



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