平成15年7月1日

自由民主党政調会障害者特別委員会
 委 員 長  八 代  英 太  様
自由民主党組織本部厚生関係団体委員会
 委 員 長  田 村  憲 久  様
                       社会福祉法人
                       日本身体障害者団体連合会
                        会 長  兒 玉  明

     
「障害者基本法」の改正に関する要望

 昨今、障害者を取り巻く国内外の環境は「福祉から権利へ」というパラダイムシフトが進みつつあり、国連では昨夏、障害者権利条約制定に関する特別委員会が設置されるなど、障害者の権利保障に関する動きが活発になっています。
わが国においても障害者に対する福祉施策や社会参加施策が講じられてまいりましたが、現在もなお、障害や障害者に対する理解の不足等により、障害者は社会生活上不当なさまざまな差別や偏見を受けています。
このたび、こうした実態を改めるべく、権利、施策、基本計画、医療、福祉、自立、バリアフリー等、多岐にわたる分野で検討がなされ、障害者基本法(以下、「基本法」という)の改正に向け活動されていることは、誠に評価されるべきものでありますが、今回の法改正の趣旨を最大限活かし、障害者に対する差別や偏見のない「すべての人の社会」を創造するため、以下の点につきまして、強く要望いたします。

・改正基本法は障害者の権利を保障し、障害者に対する差別や偏見等を禁止する「理念法」として位置づけるとともに、将来的な国内新法制定への道筋を明示されたい。

 改正基本法案では、基本的理念の中に障害者への差別を認めない旨の条文が加えられるほか、国および地方公共団体、国民の責務を明示しており、広く障害者の権利保障の重要性を訴える、意義深い内容を盛り込んでいます。
  しかしながら、これだけで障害者に対する差別や偏見を完全になくすことは現実的には困難であり、この法改正趣旨を具体的に推進するためには、拘束力をもった新たな国内法律の制定を切望するものであります。
今後数年間のうちに、国連で障害者権利条約制定の具体的な青写真が示されていくものと推察され、こうした国際的な動向を受けて、日本国内においてもさらに踏み込んだ方策を講じる必要性が生じることは必至であります。
従いまして、今回の基本法の改正にあたり、国内新法の制定に向けた将来的な方向性・道筋を、何らかの形で明確に示すべきであります。

・障害者計画策定作業段階での障害当事者の参画の必要性を明記されたい。

  都道府県や市町村が障害者基本計画を策定するにあたっては、障害者の意見を聴くだけに止どまらず、計画策定のプロセスに障害当事者の代表等が参画できるよう、改正基本法の中で明記する等し、障害のある人もない人も一緒になって障害者問題の解決をめざす、真の「共生社会」の実現に向けた十分な配慮がなされるべきであります。

・「市町村障害者平等参画会議」の設置は完全義務規程化されたい。

  一連の社会福祉基礎構造改革により、障害者施策に関する権限等が市町村レベルにまで移管されています。しかしながら、障害者の地域生活を守るための施策は市町村によって大きなバラつきが見られ、今以上の地域間格差の拡大が懸念されております。
こうした実態を考慮すると、市町村における「障害者平等参画会議」設置に関する規程は「努力義務」に止どめるのではなく、市町村障害者基本計画の策定に関する規程と同様、完全義務規程とし、障害者の生活と権利を身近な地域の中で保障するための確固たる体制を構築すべきであります。
                                  以上