中央省庁等における障害者雇用の水増し問題に対する声明 平成30年8月31日 社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長 阿部 一彦  中央省庁における障害者雇用の水増し問題については、約8割にあたる27の機関で行われ、実雇用率は2.49%から1.19%となり雇用障害者数の約半分が水増しだった事実が明らかにされました。本来、民間企業に率先垂範し障害者雇用を行うべき立場にある行政機関としてあってはならない行為が、長年にわたって行われてきた事実はゆゆしき問題と言わざるをえません。  国は、障害者施策の基本理念である共生社会の実現のため、職業を通じた社会参加が重要であり、この考えの下に障害者雇用施策の推進を図ってきたと理解していましたが、その考え方の根底が覆されたばかりか、障害者雇用の促進に真摯に向き合ってきた関係者の信頼をも揺らぐような極めて深刻な事態であることを認識すべきでしょう。  今、私たちが望むことは、一日も早く、こうした水増しの行為が起こった原因究明と実態の把握、そして、再発防止対策の検討を喫緊の課題として国の責務として取り組んでいただきたいことです。加えて、関係府省連絡会議のもとに設置される検証チームには、障害者雇用現場を熟知している就労経験のある障害のある人や就労支援関係者をメンバーに加えたなかで、中央省庁における障害者枠の在り方を含めた検討が行われることが必要だと考えます。  全ての中央省庁及びすべての地方自治体は、この事実をしっかりと受け止め、猛省することを求めます。そして、法定雇用率を満たす努力はもちろんのこと、そのことだけにとらわれることなく、障害のある人ひとりひとりが、その能力を最大限に発揮して働くことができる環境整備や、雇用の継続や定着にむけた障害特性に応じた雇用支援策、雇用の場における障害のある人の人権確保の重要性についても社会の理解啓発を図るとともに、障害者雇用を支えてきた民間企業のノウハウも参考に、一層の障害者雇用の促進にむけた取組に努めてください。  障害者団体だけに限らず、民間企業、労働組合等関係者が、長年にわたって、議論を重ね、障害のある人の雇用対策を進めてきた取組が、決して無駄にならないよう、透明性のある改善対策が図られることを切に期待します。