平成30年11月6日 自由民主党 組織運動本部厚生関係団体委員長 堀内 詔子 様 政務調査会 厚生労働部会長   小泉 進次郎 様 社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 会長  阿部 一彦  平成31年度予算・税制等に関する日身連の要望について  平素は障害者施策の推進にご尽力いただき深く感謝申し上げます。  障害者権利条約締約国として、障害を理由に分けへだてられることなく誰もが安心してくらせる共生社会の実現にむけ、日身連は全国の加盟団体と連携協力し取り組みに努めています。  2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、障害に対する理解促進が期待される今、障害者を取り巻く社会環境の一層の推進が図られますよう、以下の事項について、ご尽力いただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。 記 Ⅰ.予算に関すること (1) 『ユニバーサルデザイン2020行動計画』の完全実施について ① 行動計画では、心のバリアフリーとユニバーサルデザインの街づくりの促進に向けて取組んでいただいているところですが、行動計画が着実に実施され、かつ、継続した取組が行われることが肝要であり、計画の実施状況の把握・評価が行われることが必要であると考えます。行動計画では、障害当事者等が参加した『評価会議』を毎年開催することが示されていますが、現在まで開催には至っておらず、関係府省庁等の施策改善にもつながる評価会議の開催が求められることから、一日も早く、設置し開催していただきたい。 ② ハード・ソフト両面におけるバリアフリー化(公共交通機関、公共施設、宿泊施設、接遇等)の促進が図られているが、地方部(無人駅、路線バス縮小等含む)におけるバリアフリー化についても取り残されることがないよう促進にむけた検討を行っていただきたい。また、行政機関や事業者等における障害理解の研修についても好事例の共有と継続した研修に努めていただきたい。 ③ ICT活用によるバリアフリー促進に向けた積極的な検討を期待するものですが、利用者の視点からの整備に向けた府省庁の横断的な検討と、改善を目的とした継続的な検討が必要と考えます。関係する府省庁が連携協働し、必要とされる情報コミュニケーションのあり方が共有されたなかで進めていただきたい。 (2) 国等行政機関における障害者雇用の水増し問題について 関係閣僚会議で障害者雇用に関する基本方針が決定されましたが、透明性のある再発防止に向けた改善策の検討はもとより、数合わせで終わることなく、雇用の定着や働きやすい職場環境の整備等を図り、働く人の視点に立った改革を実現していただきたい。 (3) 旧優生保護法による強制不妊手術問題について 現在、超党派の議員連盟や与党ワーキングチームで、この問題に対する救済策の早期制定の検討が議論されていることは承知していますが、全国におよぶ被害者の方に対し、真摯に向き合い、謝罪はもとより同じ過ちが繰り返されることがないよう、国としての姿勢を示していただきたい。 (4) 改正障害者基本法・障害者虐待防止法・障害者差別解消法の法施行後の見直しについて 改正障害者基本法及び障害者虐待防止法については、施行後3年を経過した状況に検討を加え、必要な措置を講じるものとされていますが、両法律ともに、諸課題に関する検討がされていない状況です。速やかに検討を行っていただくとともに、来年施行3年をむかえる障害者差別解消法についても状況を勘案し検討を行い、必要な措置を講じていただきたい。 (5) 災害時における被災障害者等への対応について 東日本大震災の教訓を踏まえ、法改正を含め、国及び地方自治体での取組が進められていることは承知していますが、熊本地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震においても避難や避難所(応急仮設住宅含)生活における課題が見受けられました。課題解消は、場面ごとの困難なことや必要とする支援・対応をしっかりキャッチすることが肝要であり、被災経験者の提案や取組の好事例等の重要な参考資料になると考えます。地域防災計画が計画倒れになることなく、行政と地域が一体となって、災害への対策を講じていただきたい。 (6) 学校卒業後の障害者の学びについて 生涯学習、教育、スポーツ、文化の施策全般にわたり、生涯を通じた障害者の多様な学習活動を支援するための取組みについて期待しているところです。学校教育段階から将来を見据えた活動の重要性や福祉等の分野の取り組みと学びの連携強化、社会教育と特別支援教育・障害者福祉等をつなぐ人材の育成、また、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとしての生涯教育といったことについての議論を積み上げていただき、実態に即した施策が実施されるよう取組んでいただきたい。 (7) 社会参加の促進にむけた交通手段の諸課題の解消について JR等の運賃割引(鉄道単独利用100km以下の適用、JRジパング倶楽部の対象新幹線の拡大、有料道路の障害者割引制度の対象緩和等)の運用の取扱いについて、現状に鑑み、見直しを検討していただきたい。 Ⅱ.税制について ① 所得税、相続税、住民税、固定資産税、自動車重量税等については、障害者の生活に困難な状況に陥らないよう、負担軽減となるような減免対策を講じていただきたい。 ② 2019年10月に予定されている消費税引上げについて、低所得の障害者への救済措置が講じられる仕組みを検討いただきたい。 Ⅲ.その他 障害者福祉が充実・向上する上において、個々の障害者の声を代弁し活動している障害者団体の役割は極めて大きいと考えているが、その実績や貢献度に反して自助努力で障害者団体活動の財源を確保することが厳しい現状下に置かれている。是非とも、障害者団体の重要性に鑑み、現在の状況改善にむけた措置を講じていただきたい。 ① 障害者団体への助成制度といった安定かつ円滑な運用のための仕組み作り ② 身体障害者福祉法第22条(売店の設置)の見直しを含めた公共施設等の自動販売機の設置・運営の優先的許可 ③ 心身障害者用低料第三種郵便物制度の抜本的見直し 以 上